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指揮官退場の名古屋イレブンは逆転負けもサバサバ

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 良かったのは先制したところまでだった。前半17分、FW玉田圭司がゴール正面右で得たFKを直接決めて先制点を奪うまでは名古屋ペース。ところがその後が良くなかった。

 柏のパス回しに翻弄され、ラインがどんどん下がる。前線の動きが止まり、ますます自在に回されては、またもラインを下げる。この悪循環がピンチを招き、前半30分からは完全に相手のリズムになってしまった。

 「自分たちでボールが回らないからラインを上げられない。もっと自信を持ってやれば良かったのだけど」。DF田中マルクス闘莉王が振り返った通り、受け身に回って耐える時間が続いていた後半20分、柏の田中順也にとうとう同点ゴールを許してしまった。

 すると、イライラを募らせたストイコビッチ監督がペットボトルを蹴り上げて退席処分を受けるという最悪の流れに。ついにはその5分後、柏のシュート性のクロスをGK高木義成がとらえきれずこぼしてしまい、澤昌克に押し込まれて逆転を許した。

「GKがへぼいからだと書いて下さい。誰の責任でもない、GKのせいです」。高木は何度も「自分のせい」と繰り返すしかなかった。

 とはいえ救いがないわけではない。あまりにふがいない負けのせいか、誰もが敗戦を正面から受け止め、次戦に向けて切り替えようという気持ちになっているのだ。

 自身がゴールを決めて負けたのは09年9月12日の柏レイソル戦以来である玉田は「柏戦というのはたまたまだけど、でも、そういうこと(記録)はいつか終わるもの。次まで1週間あるので、下を向かずに切り替えていく」とサバサバした口調だ。闘莉王も「今日は90分間戦っていなかった。もっと圧倒するくらいのサッカーをしないといけない」と、次戦に向けて前を向いた。

 残り9試合。これからは泥臭く、ふてぶてしいサッカーで勝ち点を積み重ねていくことが何より重要な時期になる。名古屋が昨季優勝で得た勝者のメンタリティーを発揮すべきときがやってくる。

[写真]退席処分となったストイコビッチ監督

(取材・文 矢内由美子)

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