beacon

代表での悔しさ込めた同点弾、田中「使いたいと思われる魅力あるアタッカーに」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.10 J1第25節 柏2-1名古屋 柏]

 代表での刺激、そして悔しさをゴールという結果につなげた。柏レイソルのFW田中順也が逆転勝利を呼び込む同点弾。2戦連発となる今季11点目でチームを勢いづけた。

 後半20分、MF茨田陽生の横パスをPA手前のMFジョルジ・ワグネルがワンタッチで絶妙なスルーパス。ゴールに背を向けた状態でトラップした田中は素早い反転からボールを右に持ち出し、利き足とは逆の右足を振り抜いた。

「自然に右に止めていた。オフサイドかなと思って、それで逆に無駄なことを考えずにすんで、落ち着いてシュートを打てた。(ボールが)真正面から来て、真後ろのゴールに入れるのは難しかったけど、ジョルジのパスが味方も敵もだます感じで、自分もビックリしたし、トラップしてからも余裕があった。パスのおかげです」

 右足でとらえたボールは逆サイドのゴール左隅へ吸い込まれた。強烈なシュートを持つ利き足の左とは逆の右足。「シュート練習をやりすぎて、左の(シュートの)方が腰が回らなくなっちゃって、右の方がよく腰が回るので、落ち着いてファーに蹴れた」。苦笑いを浮かべながらもストライカーらしい同点ゴールだった。

 意地があった。2日のW杯アジア3次予選予選・北朝鮮戦(1-0)、6日のウズベキスタン戦(1-1)で日本代表に初選出。しかし、ホームでの北朝鮮戦もアウェーでのウズベキスタン戦も出番はなかった。「代表に行って、ほんとによかったと思うのは精神的な部分。ホームもアウェーもすごい雰囲気で、その中で試合をイメージしてアップした経験は生きているのかなと思う。精神的に少し余裕ができている」。ゴール前での落ち着きも代表効果か。一方で、出場機会を得られなかったことには忸怩たる思いもあった。

「すごい悔しかった。外国人のDFはボールウォッチャーになるシーンが多くて、外で見ていて、裏に抜けて(点を)取れるなっていう思いもあった。口で言うのは簡単だけど、それでも使われない悔しさはもちろんあるし、使われないってことは力不足だからだと思う。使ってみたいと思われるような魅力あるアタッカーになりたいと強く思った」

 悔しさをバネに、上位対決で奪った2戦連続の同点弾。「もう1回あそこに行きたいし、もっとうまくなりたいと思わせてくれる場所だった。Jリーグで自信をつくり上げて、もう一度選ばれたい気持ちがあったので、貪欲にゴールを狙った」。A代表初選出で満足するわけにはいかない。次こそは日の丸を背負い、青いユニフォームを着てピッチに立つ。そのためにも、これからも自分のチームでゴールを奪い続けるだけだ。

(取材・文 西山紘平)

TOP