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勝ち点1に一定の評価も、痛感した“力の差”。横浜FM・兵藤「何年も上位にいるチームは底力が違う」

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[9.18 J18第26節 横浜FM1-1G大阪 日産ス]

 先制しながらも追いつかれ、勝ち点3を奪えなかった。逃げきっていれば、勝ち点はG大阪と同じ53に並んでいただけに、納得はできない。とはいえ、大きな勝ち点1を掴んだとも言える。横浜F・マリノスは4連勝中だった首位のG大阪に1-1のドロー。攻め込まれる時間が長かったことを考えれば、悲観する結果ではないだろう。

 ただでさえ、ナビスコ杯・川崎F戦を行った横浜FMは中3日。対するG大阪は中7日と万全の状態だった。それだけに、前半20分に先制のミドル弾を決めたMF兵藤慎剛も「勝ち点1取れたのは、ポジティブに考えてもいい」と言い、終了間際に途中出場し、左SBに入って守りを固めた日本代表DF栗原勇蔵も「チャンスは相手の方が多かった。追いつかれたので、満足はしていないけど、引き分けたのは最低限だけど、良かったかなと思う」と振り返った。

 シュート数こそ、横浜FMが10本でG大阪が9本だが、圧倒的にボールを支配された。立ち上がりから攻めるG大阪、守る横浜FMの構図になった。開始4分、GK飯倉大樹のファインセーブで防いだが、CKからヘディングシュートを許した。さらに前半12分には結果的にオフサイドだったが、FWイ・グノにクロスから決められるなどハラハラな展開が続く。同18分にはイ・グノに右ポスト直撃のシュートを放たれるなど、いつ失点してもおかしくなかった。

 前半20分に兵藤の強烈ミドルで先制後、リズムをつかんでカウンターを仕掛ける場面があったが、崩しきるまでには至らなかった。後半13分に一瞬の隙から、サイドからのクロスでラフィーニャにヘディングシュートを打たれて追いつかれると、G大阪の攻勢が一層強まる。運動量で負け、セカンドボールを拾われて攻め込まれた。リーグ最少失点の守備陣が踏ん張り、何とか1失点に食い止めた形だった。

 G大阪の連勝を4で止め、勝ち点4差に柏、横浜FM、名古屋がひしめく混戦とした。評価できるドローと言えるが、複雑な思いも残った。シュート数や1-1のスコア以上の力の差を感じたからだ。兵藤は「前半はカウンターも決まっていたので、悪くはなかった。でも本当は、強いチームはカウンターで2点目を仕留められると思う。前半で仕留めきれなかった。後半も同じような戦い方をしたけど、ずっと何年も上位にいるチームは底力が違う。うちはまだまだ実力が足りなかった」と流れの良かった前半の終盤に追加点を奪う力がなかっことを悔やんだ。

 FW小野裕二も「相手が上手くて守備をする時間が長かった。後半、攻めの体力が残っていなかった。ガンバは、取れそうで取れないところにパスを出していた。前を向いた状態で守備ができなかった。攻撃では、うちはパスを受けてから、次にどうするか考えていたけど、ガンバの選手はパスが来る前からしっかりと受ける準備をしていた。パスを出すだけでなく、出したあとに動いていた。差を感じた。ずっと守備ばかりしていても勝てない」と唇を噛んだ。

「やっぱり強いね。うまいし。前の2人がよう走るし、点も取る。まあウチのチームは、これから強くなっていく段階だから。西野さんは何年もやっている。かなり熟成されていますし、西野さんのやろうとしているところを選手も分かっている」と木村和司監督も、チームの熟成度の面で差を感じたことを口にした。とはいえ、横浜FMは若い選手が多く、まだまだ伸び代がある。残り8試合となったが、この日感じた差を少しでも埋めて首位奪還を狙う。

(取材・文 近藤安弘)

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