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日本vsベトナム 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[10.7 キリンチャレンジ杯 日本1-0ベトナム ホームズ]

 日本代表は7日、キリンチャレンジ杯でベトナム代表と対戦。前半24分、FW李忠成(広島)が先制点を決め、1-0で勝ったが、格下相手に1得点にとどまった。前半は3-4-3、後半はMF中村憲剛(川崎F)をトップ下に置く4-2-3-1を採用したが、消化不良のままタイムアップ。11日のW杯アジア3次予選・タジキスタン戦(長居)に向け、不安を残す強化試合となった。

以下、試合後の監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「W杯アジア3次予選の前に親善試合を入れてほしいというお願いをして、普段慣れているシステムではなく、違ったシステムを試そうということで試合に臨んだ。これまで出場機会の少ない選手、なかなか使う機会がない選手を出場させることも目的だった。いいところも悪いところも出たが、出場機会の少なかった選手、慣れていないシステムのチェックについては、立ち上がりこそ不安があったが、だんだん良くなった印象を持っている。当然、課題もあった。ベトナムはアジリティーがあり、コンパクトにまとまっていて、日本の良さを消してきた。彼らの戦いぶりもあり、パスミスが多かったのかなと思う。試合前の予想どおりボールポゼッションでは有利に運ぶことができ、60%以上だった。そこから裏のスペースやバイタルエリアを狙い、できたところもあったが、最後のところの精度に問題があった」

―中村のパフォーマンスについては?
「早いリズムの中で入っていくのが難しいポジションだったが、バイタルエリアのところで前を向いてほしいという指示を出した。その仕事はやってくれていたので、パフォーマンスは良かったと思う」

―いいところと悪いところというのは?
「システムに慣れていないこともあるが、スタートポジションの位置が正確でなかった。代表チームは毎日一緒に練習できるわけではない。選手たちを焦らせるつもりもないし、徐々にやっていければいい。ただ、外部が3-4-3のシステムについて焦らせようとしている雰囲気を感じる。成長させることを目指しているし、いくつかのシステムを柔軟に変えられるようなチームにしていくことが将来的な目標だ。オフザボールの動きが少し足りなかったのも課題だ。良かったのはサイドで数的優位がつくれたこと。藤本と香川を使ってバイタルエリアで前を向くことができた。香川や李、藤本が相手の裏のスペースに飛び込めた。最後のパスやシュートの精度で問題があったが、相手に的を絞らせないところは良かった。今日のように自陣に引いてブロックをつくり、アプローチが早い相手に対して相手陣内でフリーでプレーすることは難しいが、駒野や長友や藤本、後半の原口などが比較的自由にプレーできていたと思う」

―キリン杯と今日の前半で3-4-3を試したが、まだ時間はかかるのか?
「就任して1年経つが、システムの完成に焦ってはいない。4-2-3-1をベースにやっているが、将来を考えたときに他の戦い方も覚えていかないといけない。日本は常に研究されている存在で、チームとして読みづらさというものを持っていないといけない。(3-4-3を)完成させる時期も決めていないし、チャンスがあれば徐々に精度を高めていきたいと思っている。新聞を見ると『3-4-3』などの数字が大きく書かれているが、皆さんが書いているだけで、協会から『3-4-3でやってくれ』と言われているわけではない。今は4-2-3-1というシステムも持っていて、それにプラスして新しいものを持てればいいと思っている。このシステムを試しながら精度が高まってきたら公式戦で使うときが来るかもしれないが、親善試合は6-0とか7-0で勝てばいいわけでもない。自分の手元にいる選手の確認や、自分たちのシステム、戦い方を試す場だと思う。キリン杯と今回の合宿では、移動やコンディション調整もあり、本当に3-4-3の練習ができたのは6日くらい。その中で選手たちは最高のレベルでやってくれていると思う。このシステムについては私もよく理解しているので、どれだけ時間がかかるかも分かっている」

―相手のボランチへのプレスは中盤が行くべきなのか、香川や藤本が行くべきなのか?
「中盤の選手だ。ただ、ベトナムは1対1でのアジリティーがあり、プレスがはまらないこともあった。彼らはスピードとアジリティー、持久力をベースにチームをつくっていて、想像以上に向こうのスピードが速かった。我々は1対1に強い選手はそろっているが、今日の相手はスピードがあって小回りが利いていたので、向こうの方が1対1で良かったと思う。我々はコンビネーションで崩していったときにチャンスができていた」

―発見や手応えはあったか?
「モチベーションの高さでは問題なかった。フィジカルコンディションのばらつきはあったが、これまで試合に出ていなかった選手はよくやったと思う。この事実は私を安心させてくれる。内田や岡崎、本田がいなかったが、チョイスは増えるし、選手層も厚くなったと思う。今日が代表デビューだった原口もポジティブなデビューを飾ったと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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