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[選手権予選]J注目GK渋谷擁する関東一、8発大勝で4強へ:東京A

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[10.16 全国高校選手権東京A大会準々決勝 関東一8-1足立学園 清瀬内山G]

 第90回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック大会は16日、準々決勝を行い、J注目の188cm守護神・渋谷飛翔(2年)擁する関東一は足立学園と対戦。FW大津風輝(3年)がハットトリックを達成するなど8-1で大勝し、東大和との準決勝(11月5日)へ進出した。

 立ち上がりこそ動きの悪かった関東一だったが、一度火のついた攻撃陣は止まることなく足立学園ゴールを襲い続けた。前半32分、ディフェンスラインの背後へ飛び出した166cmの点取り屋、FW谷中隆太(3年)が好守を連発していた足立学園GK久川善法(2年)を右足で破ると、34分にはFW伊東礼央(3年)のループパスから抜け出したSB村岡翔太(3年)の折り返しを谷中がワンタッチでゴールへ押し込む。

 関東一は前線から最終ラインまで攻撃的な選手がズラリ。右SBの緒方修(3年)が余裕すら感じさせるボールキープとドリブル突破で脅威となると、左SBの村岡も高い位置取りで縦に速い相手の攻撃力を消していた。加えて塚越拓也(3年)と星清太(2年)の両CBも隙あらばドリブルで攻め上がってくる。

 スルーパスと個人技を活かしたドリブルでプレッシャーを掛け続ける関東一は、後半開始直後にも大津が連続ゴールを決めて4-0。足立学園はサイドへの揺さぶりからMF山田大樹(3年)のラストパスをFW鬼塚潤平(3年)が押し込んで意地の1点を返し、直後にも相手のミスから山田がゴール至近距離から決定的な左足シュートを放つ。相手が冷静さを失っていた時間帯に差を詰めたかった足立学園だったが、これをGK渋谷に阻まれると、15分に関東一MF沓掛元気主将(3年)に右足シュートを決められて1-5。関東一は直後にも左CKのこぼれ球を大津が右足でゴールへと流し込むと、個人技で存在感を放っていた伊東も2点を加えて準々決勝では圧巻とも言える8-1のスコアで大勝した。

 関東一は今年、小野貴裕監督が「今年の3年生は3年になって、それぞれが自分のできることをはっきりやってきている。自分たち発信でできれば今年の子たちはやれる」と評する世代。少し“やんちゃ”で荒々しいイメージもある関東一だが、それぞれが自分たちの武器を理解して、それをピッチで表現している。攻撃から守備への切り替えの速さなど特長的だが、特に光るのが迫力十分の攻撃。来季のプリンスリーグ関東昇格チームを決めるT1リーグ優勝決定戦では帝京に4-2で撃ち勝ち、8月の鹿嶋サッカーフェスティバルでは大阪桐蔭や桐生一といった強豪に勝って決勝進出するなど潜在能力の高さを感じさせている。

 小野監督は「まだ手ごたえのあるところではないです」と引き締めるが、選手たちは勝利を重ねることで自信をつかんできている。主将の沓掛は「得点が取れるようになっているし、昨年よりも勝てるチームになっている」。昨年は準決勝で帝京の前に0-2で敗戦。自分たちのサッカーと結果へのこだわりとに迷いが生じて、力を発揮できないまま敗れてしまった。だが今年は違う。悲願の全国へ、隠れたV候補が「目の前の相手を倒す」ことに集中する。

[写真]前半32分、関東一FW谷中が右足で先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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