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「私のアイデア、戦術が実った」、名古屋が総力戦でV戦線に踏みとどまる

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[10.22 J1第30節 大宮2-3名古屋 NACK]

 総力戦で勝ち点3をもぎ取った。中盤の要を欠いた名古屋グランパスがシステム変更と効果的な選手交代で逆転勝利を飾り、2連勝で優勝戦線に踏みとどまった。「今日は見ている人がワクワクするようなエキサイティングな試合だった。1-0、1-2、3-2と試合がひっくり返った。サッカーそのものが出た試合。このような逆転ができたのは素晴らしいことで、我々の持っているカードをすべて切り、私のアイデア、戦術が最後は実ったと思う」。ストイコビッチ監督はそう言って胸を張り、勝ち点3という結果を素直に喜んだ。

 MFダニルソンを出場停止で欠き、従来の4-3-3からダブルボランチの4-4-2にシステムを変更した。ダブルボランチを組んだのはMF中村直志と、4月24日の浦和戦(0-3)以来28試合ぶりの先発となったMF吉村圭司。MF藤本淳吾とMF小川佳純が両サイドを務め、FWケネディとFW玉田圭司が縦関係の2トップを組んだ。

 前半3分に藤本の右FKからDF田中マルクス闘莉王のヘディングで先制点を奪うと、その後もチャンスをつくった。後半9分には中村の右足ミドル、同17分には玉田の直接FKがクロスバーを直撃。わずかなところで2点目を奪えずにいると、後半19分、21分とわずか3分間で2失点を喫し、逆転を許した。

 それでも「今までならああいう展開で、しかもアウェーで、気持ちがなえがちだけど、最近のグランパスにはまったくそういうのがない」と中村が力説するように、ここから王者の猛反撃が始まった。後半25分、MF金崎夢生、FW永井謙佑というU-22日本代表候補コンビをピッチに同時投入。同32分、ゴール前の混戦から金崎が体を張って玉田につなぎ、同点ゴールを演出すると、同39分にケネディのPKで再逆転した。

「負けたら優勝はできないし、みんなまだあきらめてない。前節、ガンバに勝って、付いていくためには今日勝たないと意味がなかった」と藤本が力を込めれば、金崎も「今日負けていたら一生戻せないので」と言った。連覇のためにはもう1試合も落とせない。勝利だけを信じて最後まで攻め抜いた名古屋に勝利の女神がほほ笑んだ。

 首位・柏、2位・G大阪も勝ったため、首位と勝ち点3差の3位のまま変わらず、残りはいよいよ4試合。次節11月3日のC大阪戦もダニルソンは出場停止で、藤本、小川のほか、DF増川隆洋、DF阿部翔平、DF田中隼磨、MFブルザノビッチの計6人が累積警告リーチの状況だ。それでも「今はチームとして戦えている。だれが出ても、最後まで点が取れる雰囲気がある」と小川は言い切った。チームの底力が問われる終盤戦。プレッシャーはどのチームにもかかっている。3チームによる熾烈な優勝争い。昨季、Jを制した経験と自信が名古屋の逆転Vへの原動力になる。

[写真]後半32分、同点とするゴールを決めたFW玉田圭司(左)がFWケネディと抱き合って喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

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