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[選手権予選]延長終了間際のV弾!三浦学苑、清水MF枝村兄の指揮官とともに初の4強へ:神奈川

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[10.30 第90回全国高校選手権神奈川県大会準々決勝 麻布大淵野辺2-3(延長)三浦学苑 麻溝]

 30日、第90回全国高校サッカー選手権神奈川県大会準々決勝が相模原市の麻溝陸上競技場で行われ、プリンスリーグ関東2部の麻布大淵野辺と初の4強進出を目指す三浦学苑との一戦は、延長後半9分にMF木村哲太(2年)が決めた決勝ゴールによって3-2で三浦学苑が勝利。11月6日の準決勝では初の決勝進出をかけて横浜市立東と対戦する。

 2度のビハインドを追いついた三浦学苑が延長戦終了間際の決勝点で難敵を突破した。前半6分、MF佐伯拓磨(3年)を中心にボールを動かしてくる麻布大淵野辺のFW平井竣也(3年)に先制ゴールを奪われた三浦学苑は、後半3分に交代出場のFW佐藤健太(3年)のラストパスからMF橋本拓也(2年)が左足シュートを決めて同点に追いついたものの、直後に淵野辺MF内藤翼(3年)にスーパーボレーを決められて再びリードを許す展開。それでも佐伯の右足FKがクロスバーを叩く幸運や相手のシュートミスに救われた三浦学苑は、同31分にMF野村徹(2年)の左クロスからSB辺見雄飛(2年)がヘディングシュートを決めて再び同点に追いつく。

 2-2のままもつれ込んだ延長戦。三浦学苑は快足FW佐藤や木村、野村、FW高城翔伍(2年)といったスピードや突破力を持った選手たちが淵野辺ゴールへと迫る。ただ決定機をつくりながらも勝ち越すことができなかったチームは、延長後半残り3分でGK石井龍成(3年)に代えてPK戦要員のGK吉本洸太(3年)を投入。“格上”からの勝利をPK戦に託そうとした。決勝ゴールが生まれたのはその直後のプレー。三浦学苑はMF栗原奨吾(2年)の左CKからGKの前へ飛び込んだ木村が、頭で熱戦に決着をつける決勝ゴールを押し込む。「やっぱ仲間のところへ。応援してもらっているので」と歓喜を爆発させた木村先頭にスタンド向けて一直線に走り出したイレブン。喜んでいる間に淵野辺が試合を再開しようとし、木村は「焦りました」と苦笑いしていたが、集中力を取り戻した選手たちはこの後淵野辺にチャンスを与えずに逃げ切った。

 主将のCB大橋琢也(3年)は「足が攣っている選手もいる中で気持ちでこらえているという状況だった。みんな強い気持ちを持ってやってくれた。うれしかった」。ただ1点ビハインドで迎えたハーフタイム、ロッカールームは静まり返っていたという。「相手のボール回しが上手くて、どれをどうしていいか分からない状況だった。みんな落ち込んでいた」(大橋)という状況。それでも清水エスパルスMF枝村匠馬の兄でもある枝村隼人監督から「負けてるけれど気にすることなく落ち着いていこう」と送り出された後半開始直後のゴールで「非常に勢いのあるチーム」(枝村監督)は一気に活気付いた。

 この試合に備えてJFAアカデミー福島と練習試合をしていたことも大きかった。「ボールに触れたらうれしいゾ」と臨んだ試合には3-5で敗れたものの、予想以上の出来。総監督である米山稔部長が「夏は負けまくっていたけれど少しずつ守備の改善ができてきた」と手ごたえを口にしたようにディフェンス面が安定してきていた。この日もボールを動かされてマークがずれた場面は何度もあったものの、身体を張った守りで3点目を許さず。耐えて勝利へとつなげた。

 歴史を塗り替えた三浦学苑イレブンに対してスタンドからは「全国」の言葉が連呼されていた。2年生が先発8人を占める“やんちゃ”で勢いのあるチームはその期待に応えることができるか。関東大会予選優勝の湘南工科大附、そしてプリンスリーグ勢の麻布大淵野辺を連破して一気に視界が広がったこのチャンスを、逃すつもりはない。 

[写真]延長後半9分、三浦学苑MF木村(中央)が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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