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崖っ縁で踏みとどまる東京V、3戦2発の巻「一つひとつ手繰り寄せる」

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[11.6 J2第34節 東京V2-1札幌 味スタ]

 東京ヴェルディが崖っ縁で踏みとどまった。負ければ数字上も昇格の可能性がなくなる3位札幌との直接対決。前半17分にFW阿部拓馬の今季16点目で先制すると、後半10分にはFW巻誠一郎が決勝点となる追加点を決めた。終盤は札幌の猛攻に遭い、シュート数も8本対15本。後半38分に1点を返されたが、2-1で逃げ切り、2試合ぶりの勝ち点3を手にした。

「どんなに泥臭くてもいいから勝ち点3を取ろうと話していた。実際、きれいな試合にはならなかったけど、こういう時期になったら勝ち点3を取ることが大事だから」。試合終盤はパワープレー気味に攻勢を強めてきた札幌に対抗し、巻が最終ラインにまで下がって守備に奔走した。「でかい選手が入ってきたら時と場合に応じてやろうと試合前に選手同士で話していた」。持ち前の攻守に渡るハードワークでピッチを駆け回った。

 残り4試合で、3位に浮上した徳島との勝ち点差は7。依然、崖っ縁の状況は続くが、前節終了時点で勝ち点10離れていた昇格圏との差は確実に縮まった。巻は「勝つことしか考えていなかった。(勝ち点を)計算してもしょうがないし、自分たちは昇格争いの中では下の方だから」と、負ければ4位以下が確定する状況だったことも知らなかったという。目の前の一戦に勝つことだけを考え、もぎ取った勝利。その結果、巻にとっては古巣でもある千葉を得失点差で抜き、順位も5位に上げた。

「一つひとつ手繰り寄せるしかない。その延長線上に昇格もあると思う。次の試合が大事。切り替えてやるしかない」。結果に一喜一憂している場合ではない。残り4試合の相手は京都、千葉、北九州、湘南。1試合1試合、勝利をつかみ取り、他チームの結果を待つだけだ。

 今年7月に深セン(中国)を退団し、東京Vに加入が決まったのは8月。移籍当初は途中出場が続いたが、この日で3試合連続のフル出場とコンディションも上がってきた。加入後初先発で初ゴールを決めた10月26日の栃木戦(4-2)以来、2試合ぶり今季2得点目。先発3試合で2得点だ。

「周りも僕を生かすようなボールを出してくれるし、サポートをしてくれる。入ってきたころよりはプレーしやすい。コンディションの面で長い間、90分出てなかったし、実際の試合と練習試合では違う。90分やれているのは自信になる」。千葉時代の08年には最終節での奇跡の逆転残留を経験している巻。昇格の可能性がゼロになるまで、チームの勝利のために走り続ける。

(取材・文 西山紘平)

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