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「下を向いても何も落ちてない」、昇格圏陥落の札幌に“幸運”も

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[11.6 J2第34節 東京V2-1札幌 味スタ]

 痛恨の敗戦で昇格圏から陥落した。2連勝中だった3位コンサドーレ札幌は東京Vに1-2で敗れ、3試合ぶりの黒星。4位徳島との順位が入れ替わり、3節ぶりに4位へ後退した。残りはいよいよ4試合。石崎信弘監督は「下を向いても何も落ちていない。前を向いて、次の試合に向かっていきたい」と気持ちを切り替えるように語った。

 1トップを務めてきたFWジオゴをメンバーから外し、FW近藤祐介とMF内村圭宏が2トップを組む4-4-2にシステムを変更して臨んだ。しかし、指揮官が「勝たなければいけない試合だったし、そのことはみんな分かっていたが、それが重圧になったか、立ち上がりは動きが鈍かった」と振り返るとおり、なかなかリズムに乗れない。

 前半17分に先制されると、前半途中からは近藤を左MF、MF高木純平を左SB、DF岩沼俊介をボランチに移し、MF宮澤裕樹をボランチからFWに上げた。「近藤のところでボールがおさまらず、左サイドで起点をつくられていたので、そこを抑えたくて高木を下げた」と石崎監督。守備面は安定したが、「(前線が宮澤に代わっても)あまり変わらなかった」と攻撃の活性化にはつながらず。後半10分に2点目を許すと、FW上原慎也、MF岡本賢明、FW横野純貴と立て続けに攻撃的なカードを切った。

 目まぐるしく選手の配置を変え、最後は3-4-3の攻撃的布陣でゴールを目指した。後半38分にMF砂川誠がようやく追撃弾を決めたが、時すでに遅かった。指揮官は「残り何分かで1点を返したが、その後の攻め方があまりに慌て過ぎた」と、焦りから攻め急いだことを悔やんでいた。

 砂川は「ほんとに勝ちたい試合だったし、勝たないといけない試合だった」と唇をかむ。「(0-1で折り返した)ハーフタイムに『まずは先に失点するのはやめよう』と話していたけど、もう1点取られてますます苦しくなった。失点は防げる失点。コミュニケーション不足やちょっと甘さがあった。この時期に来て、やってはいけない失点。だれがとかではなく、チーム全体で甘さがあるのかなと思う」とうなだれた。

 試合直後は徳島対愛媛の試合がまだ終わっていなかったこともあり、近藤は「徳島次第ですね。愛媛が勝ってくれれば。他力ですけど……」と祈るように話していた。試合は前半終了時点で徳島が2点をリードしていたが、後半ロスタイムに愛媛が2得点。劇的なドローは札幌にとっても“幸運”な結果だった。

 徳島が勝っていれば、勝ち点2差で追う展開になっていたが、土壇場の引き分けにより勝ち点は59で並んだ。得失点差で徳島が3位に浮上したが、その差はわずかに2(徳島が+15、札幌が+13)。4位に後退したとはいえ、“ダメージ”は最小限におさまった。

 残り4試合の相手は大分、草津、湘南、F東京。岡本は「負けたのにサポーターは鼓舞してくれるというか、温かく応援してくれている。何とかあと4つ勝って、昇格したい」と誓った。遠く札幌から駆け付け、試合後も拍手で選手たちを激励したサポーターのためにも、4年ぶりのJ1復帰へ、この日の敗戦を引きずっている時間はない。

(取材・文 西山紘平)

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