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[MOM507]鹿島学園MF西谷優希(3年)_双子の“頼れる兄”が怪我の弟の分まで奮闘

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 第90回全国高校選手権茨城県大会決勝 ウィザス2-2(PK3-5)鹿島学園 カシマ]
 PK戦までもつれた熱戦を制した鹿島学園だが、鈴木雅人監督が勝利の立役者として名前を挙げたのはボランチに入ったMF西谷優希(3年)だった。指揮官から「試合を通してチームの核となって、ポイント、ポイントで効いていた。怪我をした弟のためにも、もっと走れと言ったが、弟の分をお兄ちゃんが頑張った結果が出ました」と賞賛されたうえ、公式記録に記された戦評でも「攻守にわたり献身的に走り抜いた姿勢は素晴らしいものがあった」と高評価を受けた。
 評価の通り、豊富な運動量で攻守に顔を出した。特に前半20分ごろに弟のMF西谷和希(3年)が右足首を痛めてからは、さらに“スイッチ”が入った。「カズの場合は、攻撃の起点となる選手。怪我をした分、自分がカバーすることで攻撃に専念できると思った。自分が守備の量を増やして、カズを楽させようと思った」という。そんな頼り甲斐のある兄は、ゴールでもチームを助けた。
 主導権を握りながらも、後半2分に失点した。だが、同10分に弟の和希のポストプレーから右足ミドルを決めた。足が痛い中、クロスボールを胸で処理してパスを出すという弟の執念に応えた。「新人戦とインターハイが獲れなかったので、選手権は獲りたいと強く思った。シュートは枠に蹴ろうと思った。良いコースに蹴れて良かった」と振り返り、「カズがしっかりと見てくれていた。息が合いますね」と笑顔を浮かべた。難しい体勢からアシストした弟も「後ろから走って来ているのがユウでなかったら、自分は気づかなかったかもしれない」というコンビの良さだった。
 和希は足を引きずりながら後半31分までプレーした。その間、カバーを心がけてピッチを縦横無尽に走り回った。もちろんその後も、延長に入ってからも、足が止まることはなかった。PK戦でも勝てば優勝という、プレッシャーのかかる5番目のキッカーを任されたが、きっちりと成功させた。「(和希から)一緒に全国に行こうと言われたので、期待に応えられるように頑張った」。本当に頼れるボランチとして引っ張った。
「今日は中盤とDFラインが間延びした時間帯があった。そういう時はセカンドボールを相手に拾われた。そこを修正しないといけない。良かったのは、積極的に前に行けて、シュートが打てた。これはどんどん増やしていきたい。選手権では、自分が鹿島学園の勝利に貢献できるプレーをしたい」と西谷優。全員攻撃、全員守備を掲げる鹿島学園だが、全国の舞台でも、その中心には“頼れるお兄ちゃん”が君臨する。
[写真]勝利を決めるPKを成功させ、ガッツポーズを作った西谷優。“西谷ツインズ”の兄が攻守で奮闘を見せた
(取材・文 近藤安弘)

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