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首位・柏は最終節に勝てば初V、北嶋「勝てば優勝という方がすっきりしていい」

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[11.26 J1第33節 柏1-1C大阪 柏]

 柏レイソルが7月の対戦で0-5大敗しているC大阪に1-1で引き分けた。連勝は5で止まり、ホーム最終戦を白星で飾れなかったが、勝ち点を69に伸ばして優勝にまた一歩前進した。たしかに2位の名古屋、3位のG大阪も勝利したため、3チームの勝ち点差は2と縮まった。C大阪に勝っていれば12月3日の最終節・浦和戦に引き分けでも初優勝という状況だったが、FW北嶋秀朗は「引き分けで優勝という中途半端なメンタルよりも、勝てば優勝という方がすっきりしていい」と前向きに語った。

 立ち上がり、中盤をダイヤモンドにし、細かいパスをつないできたC大阪のサッカーに少し戸惑った。あまり想定していなかった布陣のようで、柏は対応が後手に回った。5連勝前の最後の敗戦となった9月25日の大宮戦(1-3)は勝てば首位再浮上ということもあり、プレッシャーでチーム全体で硬さがみられたが、この日はすぐに盛り返した。

 北嶋は「負けられないという、そういう入り方になった。でも、守備からしっかり入るというのは、みんな共通して意識していた」と明かす。大宮戦は攻め急いでしまったことが敗因の一つだったが、様々な壁を乗り越えて首位に立つ柏にはもはや、敗戦の材料にはならなかった。

 前半は0-0で折り返したが、後半3分にセットプレーから失点した。ハーフタイムの段階で、名古屋が山形に3-0、G大阪が仙台に1-0だったが、選手たちは他会場の結果を耳に入れていなかった。あくまでも勝利だけに集中。失点後も気落ちすることなく、むしろこれでスイッチが入った。

 後半9分にMF水野晃樹を右SBで投入し、より攻勢に出た。後半開始から北嶋に代わって出場したFW田中順也と共に流れを変え、後半20分にMFレアンドロ・ドミンゲスの同点弾が生まれた。北嶋は「後半の立ち上がりに失点しましたけど、後半にウチが返すことができた。このプレッシャーの中でそれができたのは成長した証。今年、何度も見た光景で、そこから逆転に持っていける雰囲気が出ていた」とチームの強さを強調した。

 下位相手との試合で勝ち点1にとどまったという結果だけを見れば、残念と言えるが、選手たちはひたすら前向きだった。MF栗澤僚一は「価値ある勝ち点1になった」と強調。田中は「勝ち点1は大きい。負けていたら、抜かれていたので」という。水野も「僕らのほうが優位にある」と話した。

 北嶋によると、試合後のロッカールームの選手の表情には「勝ち点1でぜんぜんOKという感じだった。勝てば優勝という雰囲気があった」という。たしかに負けていれば名古屋に勝ち点で並ばれ、得失点差で2位に後退するという状況だった。つまり、自力優勝が難しくなっていた。勝ち点1を奪い、自力Vの可能性を残したことは大きい。

 12月3日の最終節は浦和と、敵地の埼玉スタジアムで対戦する。この試合、もしかしたら浦和もJ1残留がかかった、まさに両軍ともに大一番となる可能性がある。それでも北嶋は「お互いに大切な物を懸けての戦いになる。プレッシャーも何もない状態より、お互いプレッシャーがかかっているほうが、試合としては面白いと思う」と平然と言ってのけた。

 柏が最終節まで優勝を争うのは、2000年の第2ステージ以来11年ぶりとなる。当時は勝ち点1差で2位だった最終節の鹿島戦に引き分けて涙を流したが、今回はそんな思いは味わいたくない。当時を知る北嶋は「今回は逆ですね。当時はなんとなくプレーしていたけど、今はその時の思いとか11年分の重みを感じてやっている。11年前は全部が悔しい思い出。だから、最終節ではレイソルの歴史を刻むチャンス。全員で勝ちを取りにいきたい」と宣言した。

 泣いても笑ってもラスト1試合。とにかく勝てば、悲願の初優勝がつかめる。J2復帰即J1制覇というJリーグ史上初の偉業達成へ-。北嶋はエースとして、自らのゴールで11年前のリベンジを果たし、サッカー史に名を残す。

(取材・文 近藤安弘)

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