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中2日、14日間で5試合目と強行日程の影響か。柏は0-2リードからPK戦にもつれて力尽きる

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[12.21 天皇杯4回戦 名古屋3-3(PK9-8)柏 瑞穂陸]

 最後は力尽きた。柏レイソルは2-0と試合を優位に進めていたが、後半開始から出場したFW永井謙佑に翻弄され、後半に追いつかれる。2-2で突入した延長前半6分、その永井に逆転弾を決められた。延長後半10分にPKで何とか追いつき、Jリーグ王者、クラブW杯“世界4位”の意地を見せたが、PK戦で8-9敗戦。クラブによるとネルシーニョ監督は「自分たちのミス、不注意で苦しい状況を招いてしまった。延長でよく追いついたが、決めるべきところで決めなければいけないという試合だった」と悔しがった。

 12月3日の最終節・浦和戦でJ1優勝を決め、その後、祝賀会などでゆっくりする間もなく、8日開幕のクラブW杯に出場した柏。この日の名古屋戦は、18日のクラブW杯3位決定戦アルサッド戦から中2日。8日のオークランド・シティ戦から数え、14日間で5試合目という強行日程で迎えていた。それでも前半はアルサッド戦に出場停止だったMFレアンドロ・ドミンゲスを中心にボールを支配。前半42分に右SBの酒井宏樹のクロスから、こぼれ球をレアンドロが決めて先制に成功した。

 前半を終えてシュート数は13対0と完全に名古屋を圧倒した。指揮官も「前半は良い入りで、エクセレントな時間だった。いい守備からいい攻撃に転じ、相手の3トップをスピードアップさせずニュートラルにもっていけた。攻撃でもボリュームある内容を出せた」と評価した。後半は永井の登場で苦しんだが、同21分にはFW工藤壮人が酒井のグラウンダークロスを押し込んで2-0とした。さすがはJ1王者の、クラブW杯4位の力を示していた。

 しかし、徐々に名古屋に追い込まれる。後半32分に永井のドリブル突破から1点を返されると、同43分にはロングスローのこぼれ球をDF増川隆洋に押し込まれて同点に追いつかれた。DF増嶋竜也は「後半にふとしたところから失点して、バタついてしまった。ただそこからもう1点畳みかけることができれば、まったく問題のない試合だった。追いつかれてからミスが増えてしまった」と振り返っているが、蓄積疲労が、後半の落ち込みにつながった可能性がある。

 ネルシーニョ監督が「決めるべきところで決めなければいけないという試合だった」と分析した通り、延長戦では柏のほうがチャンスがあった。延長前半10分には酒井のクロスから工藤がヘディングシュート。こぼれ球に途中出場のFW北嶋秀朗が詰めたが、決めきれなかった。延長後半11分には工藤、同13分には北嶋と再びチャンスを迎えたが、ゴールネットを揺らせなかった。3得点に絡んだ工藤は「元日まで試合をするつもりだったし、ここで終わってしまったということをまだ受け入れられない気持ちです」と悔しがった。

 天皇杯との2冠を目論んでいた柏だが、残念な結果に終わった。しかし、J1昇格初年度優勝という史上初の快挙を成し遂げ、クラブW杯4位に入るなど、最高のシーズンだったことに変わりはない。ネルシーニョ監督は「1年を振り返って、本当にすばらしいシーズン、レイソルにとって勝利の年だった。誰も忘れることのない歴史を刻めた。チームは本当にいい仕事をできた」と今シーズンを総括した。

 DF近藤直也も「今日の試合もチームがすごく成長していたと感じた。特に前半は相手に何もやらせなかった。FCWCの経験がチームとしてすごく活きていた」とコメント。工藤も「本当に中身の濃い1年になった」と明かしている。最後は悔しい結果に終わったが、最後までレイソルらしさを発揮した試合となった。来年はACLもあるが、さらにチーム全体のレベルを上げてアジア制覇、そしてJリーグ連覇を目指す。


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