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ナビスコ杯連覇の地で工藤が躍動、豪快ミドルに決勝スルーパスで「国立はいいイメージがある」

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[12.29 天皇杯準決勝 横浜FM2-4(延長)京都 国立]

 ミラクル・サンガの原動力は若手だけじゃない。京都サンガF.C.の強さの秘密は、この復活したテクニシャンにある。27歳のMF工藤浩平だ。千葉時代、ナビスコ杯連覇など相性のいい聖地・国立競技場で1ゴール1アシストの活躍を見せ、京都を9大会ぶりの決勝に導いた。

「ほんと大変な試合でしたけど、勝てて良かったです。シュートは、練習でもあまり打てないようなのが打てた。ボールを受けたときにフリーだったし、宮吉がいいところに抜け出して(スペースを開けて)くれて前が開いたので、思い切り打ちました」

 京都は前半から猛攻を仕掛け、主導権を握っていたが、前半41分に先制を許した。そんな流れの中で迎えた後半5分、工藤の左足が炸裂した。中盤で自らインターセプトしてカウンターを展開。FWドゥトラのリターンを受けて抜け出し、中央で思い切り左足を振り抜いた。1-1同点ゴールを突き刺し、京都サポーターを狂喜乱舞させた。

 そして、2-2で迎えた延長後半11分には、FW久保裕也の決勝弾を導いた。中盤でこぼれ球を拾ってドリブル突進。久保の走り出しを見てスルーパスを出した。タイミングばっちりのボールで、久保はやすやすと3-2の勝ち越しゴールを決めた。「久保から、声が聞こえたので出した」と工藤は明かしたが、さすがの技術を発揮し、高精度のパスを出した。

 工藤は今季、下部組織から所属していた千葉を退団し、京都に加入した。司令塔として期待されたが、1月に左膝前十字靭帯を損傷。手術となり、今季初出場は9月1日の愛媛戦(0-0△)だった。なかなかトップフォームには戻らなかったが、10月19日の札幌戦(4-0○)で今季初先発を果たしゴールも記録。そこから実力を発揮し、チームの成績も上り調子となった。

「もう足は問題ないです。今季は出だしでつまづいたので、今すごく楽しい」と工藤。若いチームにあって、27歳MFの存在は大きい。この日の準決勝。工藤によると、普段は中々プレーできないサッカーの聖地・国立での試合とあり、「初めての選手もいて、あまり眠れなかった選手もいたみたいです」。だが、工藤は落ち着いたプレーでチームを牽引。リスタートでは、素速いキックで相手の意表を突くなどらしいプレーを随所に見せた。

「後半のロスタイムに追いつかれたけど、みんな下を向くことなく、いきいきいしていた。そういう状態だったから、良かったんだと思う。僕は延長に入る前、それを見てグッと来ました。大木さんのおかげというか、チームはのびのびやれている。そういうのが出せている」。チームには今、一体感があり“いい雰囲気”があるという工藤。元日の決勝はリーグ戦で1-4、1-6のスコアで2敗している難敵のFC東京だが、「国立はいいイメージがある。勝ちたいです」という背番号「20」が引っ張る。

(取材・文 近藤安弘)

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