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[MOM522]富山南FW大原史裕(2年)_無心の2ゴール!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 富山南2(PK5-4)2佐賀東 等々力]

 富山南に全国初出場、初勝利をもたらしたのはFW大原史裕(2年)の右足だった。

 富山県予選では先輩のFW清水恒輔(3年)が5ゴールと活躍、全国大会でも期待された。しかし、佐賀東の執拗なマークにあい、なかなかシュートが打てない。
 予想されていたとはいえ、現実になったエースの苦境。そこをもう一人の2年生FWが救った。佐賀東にペースを握られかけていたなかでの先制ゴール、そして一度逆転された後の後半終了前の同点ゴール。どちらも外せば結果が変わっていた可能性の高い、重要なシュートを2本とも決めて見せた。

「僕の役割はサイドをドリブル突破したり、裏に抜け出したり、チャンスメイクしたり…。フィニッシュするよりそっちの方が多いんです。今日はあまりできなかったですけど、ドリブル突破が得意で…」とはにかむ。ゴールという結果だけでみれば、公式戦でもあまり結果を出していないという。

 では、なぜこの大事な一戦で活躍できたのか?

「1点目は思い通り、迷いなくシュートすることができました。県大会ではヘンに緊張したんですけど、今日は緊張せずいつもどおりプレーできたと思います」
 じつは、東京に来た直後の25日、横浜FCユースとの練習試合で左肩をケガしていた。
「東京に来て初日の練習試合でした。でも、監督にはだからといって交代しないので最後までやりきれ、といわれていたんです」

 決して万全なコンディションとはいえなかった。でも、そのマイナス要素が逆に、雑念を入れ込むだけの余裕を大原から奪ってくれたともいえる。まさに「無心」の境地から生まれた貴重な2ゴール。
 当然2回戦ではマークがきつくなる。でもそれは一方で相棒FW清水のマークを軽減することにもなる。マイナス要素から生まれた無心の状態が、さらなるプラス要素となるか。もしなれば、富山南の快進撃は、この試合にとどまらない。

[写真]富山南の大原は2ゴールの活躍
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文/伊藤亮)
【特設】高校選手権2011

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