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[MOM527]聖和学園MF藤原光(3年)_全治3か月から2か月で値千金の復帰弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 聖和学園1-1(PK4-3)香川西 柏の葉]

 あきらめかけていた舞台で大仕事をやってのけた。聖和学園(宮城)は0-1の後半39分、MF藤原光(3年)が値千金の同点弾。土壇場で追いつき、PK戦の末、競り勝った。

 後半開始から出場したこの日が2か月ぶりの復帰戦だった。10月30日の宮城県大会準決勝・東北学院戦。1-1の延長前半10分に決勝点を決めた藤原光だが、その後、左太腿を筋断裂。「疲労の蓄積で。ケガをしたときは痛くて眠れなかった」。複数の病院を回ったが、いずれも診断は全治3か月。2か月後に開幕する全国選手権には「『絶対に間に合わない』と言われた」と、出場は絶望的と思われた。

 しかし、高圧酸素カプセルに毎日通うなど懸命な治療とリハビリを続け、選手権出場の望みを捨てることはなかった。「あきらめかけたけど、みんなでサッカーがやりたくて、あきらめ切れなかった」。その思いが驚異的な回復につながり、今月20日に全体練習に復帰。患部にはテーピングを巻き、まだ痛みは残るものの、「普通に走れるし、普通にプレーできる」と気持ちで戦った。

 ドリブラーぞろいの聖和学園の攻撃陣の中で藤原光は“異質”な存在だ。「周りを生かすプレーが持ち味」と言うMFは「自分が出し手に回れば、周りの選手がドリブルしやすい状況をつくれる。前半を見ていて、前線にボールが入ってからのフォローが少ないと思った。自分が出たら、ドリブルする選手の後ろに付くことを意識していた」と、サポート役に回り、攻撃に厚みと連続性をもたらした。前半のシュートは3本だったが、藤原光が入った後半は8本。その“効果”は絶大だった。

 試合終了間際に自ら同点弾を決めた藤原光は得点後、迷わずベンチに向かって駆け出した。「今までスタメンで出ていたけど、ケガをして、ベンチで温かく支えてくれているチームメイトを見てきて、自分を支えてくれた人に感謝してピッチに入った。点を取って、一番最初にベンチに行こうと思った」と、控え選手たちと喜びを爆発させた。

「心肺面が付いてきていないし、まだ思いどおりのプレーはできない」と、今後もベンチスタートとなる可能性が高い。それでも聖和学園の「ドリブルサッカー」に一味違うアクセントを加える藤原光の存在が、2回戦以降もスーパーサブとして大きな力になるのは間違いない。

[写真]祝福に応える藤原光
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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