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[MOM532]大分FW岡部啓生(2年)_怒られ役のムードメーカーが快挙。後半にハットトリック達成!!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 北陸0-10大分 NACK]

 怒られても、怒られても、歯を食いしばってゴールを狙い続けた。大分(大分)は前半のうちに4得点し、後半も手を抜かずに6得点。10-0と1976(昭和51)年度第55回大会から現行の首都圏開催になってからは、初の二桁得失点差勝利をつかんだ。それ以前を含めても36年ぶりの快挙となったが、大きく貢献したのは、今大会2人目となったハットトリック男、FW岡部啓生(2年)だった。

「監督に褒めてもらえました。良いプレーをしたときも、めったに褒めてくれないので嬉しいです。前半、うまく行かなくて落ち込んでいた部分もあったけど、先輩や監督がアドバイスをくれた。1点目が入って、うれしさがこみ上げてきた。ハットトリックできて嬉しいです」

 シュート40本が示すように、前半から大分が圧倒的に攻め込んだ。だが岡部は、チャンスがありながら決定機を外し続けた。その都度、ベンチから朴英雄監督の指示が飛ぶ。動き方だけではなく、時には厳しい声も投げかけられ、スタンドまで響いていた。しかし、それは期待の裏返し。本人も「それは自分のために怒ってくれている。指示を聞けば、うまくいくので。厳しい言葉? そこは聞かないように……(苦笑)」。さすがに他のFWがゴールを重ねる中で落ち込みはしたが、ハーフタイムに、監督や先輩から声をかけられた。

「自分も取らないといけないと、焦りがあった。でも、監督や先輩が声をかけてくれた。先輩や監督の指示が大きかった。同年代の選手も、いけるからと、声をかけてくれたんです」と岡部。後半、一層、気合が入った。通常、前半で4-0になると、後半は少し気の抜けた試合になることがあるが、大分は岡部を筆頭に攻撃の手を緩めなかった。6得点中、3点が岡部。この男の気迫につられる形で、他の選手もゴールを目指した。

 後半7分、CKのこぼれ球を岡部が押し込んで5-0とした。岡部のこの日初ゴール。これで一気に勢いに乗った。同19分にもセットプレーのこぼれ球を押し込んでゴールを決めた。ますます勢いづく。そして後半28分、ストライカーとして最高の仕事の一つといえるハットトリックを達成させた。縦パスを受けて快足を活かしてドリブル突進。「裏に抜け出してGKとの1対1で確実に決めるのが理想です」と本人が言う通りの得意のプレーで、今大会2人目の記念弾を沈めた。怒られ役から一転、二桁得失点差の記録を作るヒーローとなった。

 いつもはいじられキャラで、この日のように朴監督の“怒られ役”になっている。「1年生のときから怒られていた。チームメートの中でもいじられ役? けっこう、そうですね。」ゴールだけでなく、ムードメーカーとしてもチームに貢献している。

 ちなみに理想のストライは-、日本代表FW李忠成。「尊敬できる選手。気持ちの強さとか、帰化して日本人になったこと、それに怪我にも強いところとか、精神面の強さを尊敬しています。自分にはないところなので」。だがこの日、何度も朴監督に怒られながらも、気持ちを切らさずにゴールを決めた。最後には、指揮官からお褒めの言葉も受けた。李忠成の域に到達するのは簡単ではないが、また一歩、精神的に成長した証拠だ。

「この調子を落とさずに頑張りたい。次は浦和東ですけど、2点くらい取りたいですね。勝ち続けて国立でやってみたいです」と岡部から強気な発言が飛び出した。浦和東は難敵で、大分はこの日見せた得点力をどこまで発揮できるかが鍵になる。岡部は次は、前半からフル回転で仕事をする。

[写真]大分・岡部が3発
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

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