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[選手権]20年前は両校Vの四中工、5戦6発の浅野「単独優勝して帰りたい」

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[1.7 全国高校選手権準決勝 尚志1-6四日市中央工 国立]

 第90回全国高校サッカー選手権は7日、東京・国立競技場で準決勝を行った。第2試合では福島県勢として初のベスト4となった尚志(福島)と、20年ぶりの4強入りを果たした四日市中央工(三重)が対戦。四日市中央工は6-1の快勝を飾り、優勝した91年度大会以来、20大会ぶりの決勝進出を決めた。9日の決勝では市立船橋(千葉)と対戦する。

 狙いどおりのサインプレーで均衡を破った。「前半は相手のロングスローやCKで苦しい時間帯もあったけど、そこをしのげて我慢しながらチャンスをうかがえたらと思っていた。練習していたショートコーナーから1点取れて、気持ち的に楽になった」と樋口士郎監督は振り返る。前半35分、左CKからMF田村大樹(2年)が短くつなぎ、FW浅野拓磨(2年)が落としたボールをMF國吉祐介主将(3年)が右足で叩き込んだ。

「自分たちで考えていたトリックプレーを使った。最終調整の合宿で試していた。これまでもやろうとしていたけど、やる機会がなくて、今日やろうと」。今大会3点目となるゴールで貴重な先制点を決めた國吉が胸を張る。勢いづいた四中工は前半41分にFW田村翔太(2年)が今大会6点目となる追加点を決め、2-0で前半を折り返した。

 後半は前がかりになる尚志の反撃をかわし、確実に追加点を重ねていく。後半20分、浅野のシュートのこぼれ球をMF松尾和樹(2年)が左足ミドルで狙い、今大会初ゴール。同32分には右サイドからドリブルで切れ込んだ浅野の豪快な左足ミドルシュートが左ポストを叩いてゴールマウスに吸い込まれる。浅野の5戦連発となる追加点で4-0と試合を決定づけた。

 尚志も後半37分、MF金田一樹(3年)の左クロスからFW福永裕大(3年)が落としたボールをMF山岸祐也(3年)が右足で叩き込む。意地の1点を返したが、四中工は後半44分、浅野が鋭いドリブル突破からDFを振り切り、左足で豪快にゴールネットを揺らすダメ押しゴール。その直後にも左サイドから切れ込んだ浅野がこぼれ球をダイレクトでゴール前に落とし、DF安野克(3年)のオウンゴールを誘った。

 終わってみれば6-1の大勝劇。波に乗って決勝に臨むが、対戦する市立船橋とは昨年12月の御殿場合宿で練習試合を行い、1-2で敗れている。田村翔は「CBが激しく前にチャレンジしてきてすごいなと思った。自分も点が取れなくて、今までで一番守備が強いチームだと思った」と振り返る。「組み合わせを見たら決勝でしか当たらない。そこまで行って借りを返したかった」と、市立船橋へのリベンジを胸に秘め、大会を戦ってきた。

 日本一を懸けた大舞台での再戦。樋口監督は「市船のフィジカルと高さに対して、グラウンダーのパスで勝負しないとどうにもならない。ギャップでボールを動かせるかの勝負。スペースに出して、跳ね返されるのが続いたら苦しい。怖がらずにボールを動かすことにチャレンジしたい」と勝負のポイントを口にし、田村翔は「激しく前にチャレンジしてくるから2トップの関係で裏を取れると思う」とイメージを膨らませた。

 小倉隆史氏、中西永輔氏、中田一三氏の「四中工三羽がらす」を擁して全国制覇した91年度大会以来の決勝戦。20年前は帝京(東京)との両校優勝だった。市立船橋との名門対決を制し、初の単独Vなるか。主将の國吉が累積警告で出場停止となるが、「彼の気持ちをみんなが受けて戦いたい」(樋口監督)と、逆境も団結力に変えるつもりだ。「20年前は両校優勝。自分たちは単独優勝して帰りたい」。浅野は力強く優勝宣言した。

(取材・文 西山紘平)

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