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[選手権]「あいつが点取るとむかつく」得点王争いで火花散らす四中工の2年生2トップ

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[1.7 全国高校選手権準決勝 尚志1-6四日市中央工 国立]

 得点王の座は譲らない。四日市中央工(三重)の2年生2トップが火花を散らしている。1-0の前半41分、得点ランキングトップのFW田村翔太(2年)が今大会6点目となる追加点を決めると、後半32分にはFW浅野拓磨(2年)も5戦連発弾。浅野は同44分にも2点目を決め、大会通算6得点で田村翔に並んだ。

「田村とは毎日話しているし、得点数のことは意識していた」と、終盤の2発でチームメイトに追いついた浅野は「田村が点を取ると、むかつく」とまで言う。それを聞いた田村翔も「僕もむかつきます」と即答。「あいつが2点目を取ったときは全然うれしくなかった」とライバル心をむき出しにする。

 四中工の攻撃陣を引っ張る快足2トップ。樋口士郎監督は「彼らはスペースがあればプレーできる。ただ、まだイケイケでしかサッカーができない。おさめるところとか、うまく味方を使って自分が出ていくところとか、そのあたりの状況判断ができないと」と話すが、要求の高さも期待の表れだろう。

 徳島市立との2回戦では田村翔がハットトリックと爆発。立命館宇治との3回戦、中京大中京との準々決勝では、いずれも1点ビハインドの後半ロスタイムに浅野が劇的な同点弾を決め、PK戦の末、競り勝った。2人で奪った12得点が、チームを20大会ぶりの決勝に導いたのは間違いない。

「プレースタイルが似ているし、あいつが何を考えているのか分かる」(田村翔)という阿吽の呼吸を見せる2トップだが、力強いドリブルで独力突破を見せる浅野と、DFとの駆け引きから一瞬で裏を取る田村翔と、持ち味は異なる。中学時代は無名だった田村翔に対し、浅野は中3で国体メンバーにも選ばれるなど、たどってきた道のりも違った。

 昨夏の全国総体からレギュラーに定着した田村翔は1年生のころはBチームにいた。すでにトップチームのスーバーサブとしてゴールを決めていた浅野の姿をスタンドから観戦し、「いつか追いついて、越えてやろうと思っていた」と、悔しさをバネにはい上がり、全国大会の舞台で得点王を争うまでになった。

 市立船橋(千葉)との決勝へ浅野が「田村も1点は取ってくると思うし、自分はそれより得点したい。必ず2点以上取って、チームも優勝したい」と意気込めば、田村翔は「拓(浅野)が2点って言うなら、僕は3点取ります」と一歩も引かない。「チーム内で争えるのはいい状況。拓のことはライバル視しているし、お互いに切磋琢磨していきたい」。ゴールでの“競演”を誓う2年生2トップ。2人が得点数で競う展開になれば、自然とチームも日本一に近づいているはずだ。

[写真]前半41分、大会通算6点目となる追加点を決めたFW田村翔太

(取材・文 西山紘平)

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