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[選手権]就任1年目の朝岡監督日本一王手!市船イレブン「勝って胴上げして監督を泣かせたい」

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 市立船橋イレブンが就任1年目で決勝進出を果たした朝岡隆蔵監督を男にする。7日の全国高校サッカー選手権準決勝で大分(大分)を2-1で振り切り、優勝に王手をかけた市立船橋。同日のミーティングで「最後気持ちが強い方が勝つ、人間性が強い方が勝つ」と繰り返した朝岡監督は感情的な表情になっていた。FW{{和泉竜司}9主将(3年)は「監督がミーティングで泣きそうになっていて、みんなが(泣くのは)『早いよ!』と。決勝で勝って胴上げして監督を泣かせたい」と誓っていた。

 就任1年目だが、それまでヘッドコーチを務めていた指揮官への信頼感は絶大だ。流通経済大柏との千葉県大会決勝で決勝ゴールを決め、今大会でもアシストを連発しているMF菅野将輝やMF杉山丈一郎(ともに3年)という攻撃のキーマンは7日の準決勝でベンチスタート。だが菅野は「ベンチスタートの時は(朝岡)監督から前の日に杉山と呼ばれて『オマエらが我慢できないなら、前半から出すけど』と言われる。(先発から出たい思いもあるが)監督のいうとおりにすれば勝てるし、監督を信頼している」と頷く。練習中は時折選手たちと笑顔で接し、人情味溢れる一面も持つ指揮官に菅野も「優勝して胴上げしたい」と意気込んだ。

 94年度の日本一メンバーである朝岡監督だが、同大会で2得点を挙げながらも準決勝、決勝は体調不良のためにベンチ外。チームから隔離されて決勝は自宅のテレビで優勝の瞬間を見守ったという。その瞬間から「あれが自分のなかの結果。そして(指導者として)国立に戻ってきて勝つんだという夢を持った。市船でとは思っていなかったけれど、選手たちを(頂点へ)連れていこうと」。その夢が母校・市立船橋の指揮官としてあと一歩でかなうところまで来ている。

 興奮は高まってきているが、その様子を選手たちの前ではできるだけ見せないように努力している。「こっちが平常心を失ってしまうと選手にうつってしまう。彼らは度胸もある。浮き足立つこともないと思う。選手たちはやってくれると思います」。宿舎で千葉出身の方々たちから「応援してます」というエールを受けるたびに市船という存在の大きさを感じる。その期待に応えるまであと1勝。県大会優勝時には「全国で優勝してから」と胴上げを拒否した35歳の若き指揮官が、国立で、厚い絆で結ばれた選手たちの手で宙を舞う。
 
(取材・文 吉田太郎)

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