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[選手権]大津、熊本県勢54年ぶり4強届かず(鹿島学園vs大津)

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[1.5 第87回全国高校サッカー選手権準々決勝 鹿島学園(茨城) 2-1 大津(熊本) 三ツ沢]

 
 「熊本の歴史を変えたい」との強い意気込みで準々決勝に臨んでいた大津(熊本)は、鹿島学園(茨城)に1-2で敗戦。熊本県勢としては1954年度の熊本工以来54年ぶりとなる全国4強入りの夢は、後半ロスタイムの失点によって崩れ去った。

 6日間で3試合を戦った鹿島学園に対し、大津は5日間で3試合。この日程のわずかな差がチームには想像以上に大きかった。ボールをキープこそしているもののパス1本1本が微妙にずれ、いつもの大津らしい流動性に富んだサッカーをすることができない。
 特にここまで計5得点を決めていた黒木一輝、西田直斗(ともに3年)の2トップの運動量が少なく、相手の脅威となりえなかった。両サイドからのクロスも精度を欠き、リズムに乗れなかった大津は1点ビハインドの前半12分に左CKをDF藤本大主将(3年)が頭で叩きこみ同点としたが、その後の決定機をミスで逃すなど追加点を奪うことができない。
 そして迎えた後半ロスタイムにPAやや外の危険な位置でファウルを献上。平岡和徳監督はここで「あの位置のFKならPKと変わらない」と思い切ってPK戦要員であるGK今井達也(3年)を投入した。だがこのFKを鹿島学園MF小谷駿介(3年)にゴールへ突き刺され、敗れることになった。

 PK戦での敗戦以上に試合を通じて決め切れなかったことを反省した平岡監督。この日のシュート数は8-4で、大津は相手にわずか4本放たれたシュートによって4強進出を逃すことになった。指揮官は「決め切れなった。あと精度が落ちてしまったことが致命傷になってしまった」。そして「ボクの責任で勝利に結び付けられなかった」と残念がった。

 全国総体でチーム史上初の4強進出、天皇杯全日本サッカー選手権では初めて全国大会1回戦に勝利した。大津の歴史を次々と塗り替えてきた今年のチームだが、選手権での初の4強進出は後輩たちに託されることになった。新チームは、この日先発フル出場したJ注目のボランチ・谷口彰悟やDF岩崎司、そして今大会2得点をマークしているテクニシャン・藤崎裕太(全て2年)らを擁する大型チーム。「(新チームは)各年代の代表がいる。(来年へ向けて)今日グラウンドに立ちたいくらい」と平岡監督が期待する来年、大津は半世紀以上遠ざかっている熊本県勢の全国4強と初優勝に再チャレンジする。

<写真>まさかのロスタイム被弾。この日、再三左サイドを破っていたMF蔵田は試合終了とともに顔を被って座り込んだ
(取材・文 吉田太郎)

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