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[選手権]大津・藤本「4年後、兄と同じ舞台に」(鹿島学園vs大津)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[1.5 第87回全国高校サッカー選手権準々決勝 鹿島学園(茨城) 2-1 大津(熊本) 三ツ沢]

 主将が放った魂の一撃も勝利には結びつかなかった。試合開始直後に失点した大津は前半12分、DF岩崎司(2年)の左CKに飛び込んだCB藤本大主将(3年)が「チームにしっかり貢献したかった。思いきり飛び込んだ」と打点の高い、豪快なヘッドを突き刺し同点に追いつく。
 だが、チームは次の1点が取れなかった。後半12分のMF西田直斗の左足シュート、そして同22分に右クロスをフリーで合わせたFW黒木一輝(ともに3年)の決定的なシュートが枠から外れると、流れは鹿島学園に。そして後半ロスタイムに決勝FKを決められ、準々決勝での敗退が決定した。

 キャプテンマークをつけた藤本は1年間、チームの柱を担ってきた。元々は熊本県選抜にFWとして招集されていたストライカーだったが、CBに転向後は最終ラインで守備の要を担った。この日も相手エース・忍穂井大樹(3年)のドリブル突破を防ぎ、空中戦では次々と相手ボールを跳ね返した。前半30分頃には接触プレーで左目周辺を強打し、2分間ピッチの外へ。その後視点が定まらないまま前半の残り時間をプレーしていた。

 勝って大津サッカー部が頑張っていることを見せたかった。だからこそ痛くても必死だった。昨年9月、大津はサッカー部員の不祥事が発覚。選手達は周囲から厳しい視線を受けることになった。汚名返上というわけではないが、イレブンは勝利にこだわった。「勝って大津高校が頑張っているところを見せたかった。みんなで協力できたと思う」。初の4強には手が届かなかったが、藤本主将の代は総体で初の全国4強、天皇杯では高校生チームながらも1回戦を突破した。そして選手権も過去最高タイの8強。苦しい時期もあったが、藤本は大津での高校生活を振り返って「人間的に成長できた3年間だった」と振り返った。

 藤本にとっての次の目標はC大阪に所属する兄・康太(22)と同じJの世界へ進むこと。今春からの4年間は大学サッカー界屈指の強豪・流通経済大に進学することが決まっている。今年大量9人のJ内定者を輩出した強豪で自分を磨くことに専念する。「4年間最大限自分を伸ばしたい。兄と同じ舞台に立ちたい」。この日、無念の敗戦を味わった藤本だったが、視線はすでに次のステージへと向けられていた。

<写真>前半12分、大津はDF藤本が同点ゴールをたたき込む
(取材・文 吉田太郎)

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