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【特集】09年J1ニューフェイスの決意(第9回、川崎F・登里享平)

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 期待の大きさは指揮官の言葉からも窺えた。川崎フロンターレの新加入選手会見後の記者取材。補強選手の話題に話が移った際、関塚隆監督は、真っ先に香川西高(香川)から加入する新人MF登里享平の名前を挙げ、「(合流から1週間だが)高いパフォーマンスを見せている。1年目で出場する可能性も高い」と絶賛した。

 登里は年代別の日本代表選出経験こそないものの、JFA U-18選抜や日本高校選抜候補に名を連ねている高校年代随一のサイドアタッカーだ。抜群のスピードを活かしたドリブルからのクロスを武器に、次々とゴールをもたらしていく。12日に終了した全国高校選手権では、インターハイ王者・市立船橋高(千葉)との初戦で2アシストを記録し、優勝候補筆頭を沈めて見せた。左ひざの負傷で3回戦の前橋育英(群馬)戦では満足なプレーができないまま途中交代。チームも敗退し、涙を見せたがこの日「(ひざは)もう完璧です」と宣言、万全の状態でプロ1年目のシーズンに臨む。
 
 登里の評価は昨春の時点で不動のものになっていた。川崎F加入が決まったのは9月だが、評価を上げたのは高校2年生で迎えた07年度の全国高校選手権。1回戦で藤枝東高(静岡)に敗れたものの、川崎Fのホーム・等々力競技場で行われた試合で登里が披露したドリブル、クロスは誰よりも光っていた。そして川崎Fはこの逸材に注目し、継続的に調査。向島建スカウトは「(JFA U-18選抜として出場した)3月の沖縄(高校招待サッカー大会)の時点で実力は間違いないと確信した」と明言する。そして川崎Fが重要視している練習姿勢や人間性も問題なく合格点を得て、期待のMFの入団は内定した。
 
 昨年経験した川崎Fへの練習参加では、持ち味であるサイドを切り裂くドリブルと左足からのクロスでアピール。先輩Jリーガーに負けない評価を得た「左サイドのスペシャリスト」にクラブは高い期待を寄せている。関塚監督はチームの優勝するためのポイントのひとつに「左サイド」を挙げていたが、監督の言葉からも50mを6秒ジャストで走る快足アタッカーが1年目からレギュラー争いに食い込んでくる可能性はありそうだ。

 当の登里も1年目からのポジション奪取を目標に掲げる。そして「(鹿児島城西高から鹿島に加入する)大迫もそうですけど、同年代には負けたくない。(先に)同世代に活躍されるのは悔しい」と同期のライバルたちよりも先にデビュー、活躍することを誓った。持ち味のスピードを消された際のプレーなど、課題はまだまだある。だが、18歳の新人MFは「新人らしく思い切ってプレーしていきたい。フロンターレの優勝に貢献する」ときっぱり。2012年のロンドン五輪出場を目指す18歳は、J1でのプレーで「注目の高校生ルーキーは鹿島FW大迫勇也だけでない」ところを示し、川崎F初タイトルへの使者となる。

<写真>新体制発表会見、川崎Fの応援歌に合わせタオルマフラーを振り回す登里
(取材・文 吉田太郎)


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