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3連覇に障害なし、鹿島が圧巻の強さ

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[3.7 J1第1節 鹿島2-0浦和 カシマ]

 王者の強さばかりが際立った。前人未到の3連覇を狙う鹿島アントラーズが盤石の試合運びで白星発進を切った。浦和をホームに迎えての開幕戦。フィンケ新監督を迎え、4バックにシステム変更するなど生まれ変わろうとする赤い悪魔を力でねじ伏せた。

 前半22分、右サイドを突破したFWマルキーニョスのクロスにMF野沢拓也が2列目から飛び出すと、倒れ込みながら左足で流し込み、先制のゴールを奪う。後半6分には電光石火のカウンターからマルキーニョスが豪快な右足ミドルで追加点を決めた。

 ゴールはともにカウンターから。シュート数も10対13と劣り、前半は浦和にパスを回される場面もあったが、ピンチらしいピンチはほとんどなかった。

 指揮官もチームコンセプトも変わった浦和に比べ、オリヴェイラ監督の下で2連覇を達成するなど成熟された鹿島に連係面で利があるのは当然だ。しかし、この日鹿島が浦和を凌駕したのは、球際で体を張る、攻守の切り替えを速くする、セカンドボールに相手より速く反応する、ピッチを誰よりも走る――という基本的な部分。攻撃でも守備でも、1滴の水も漏らさないような滑らかで美しいサッカーを披露した王者の根底にあるのは、こうした選手ひとりひとりの献身的で泥臭いプレーだった。

 MF青木剛は「自分たちのやるべきことをやったから勝てた」と強調し、MF本山雅志は「浦和は去年と変わったサッカーをしてきたけど、僕らがみんなで走って、体を寄せてやれたことが相手のパスも通らなくなった要因。鹿島がやってきたことをそのままやっただけ」と胸を張った。特に変わったことはやっていない。非の打ちどころのない試合内容を見せながら、選手の意識がそうなのだから、恐れ入るしかない。

 現時点で3連覇の道に障害は見当たらない。09年シーズンの主役も鹿島になることを十分に予感させる完勝だった。

(取材・文 西山紘平)

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