beacon

磐田に救世主現る、イ・グノが「本物」の決定力

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.19 J1第6節 磐田3-0清水 エコパ]

 ジュビロ磐田の韓国代表FWイ・グノが鮮烈なJデビューを飾った。出場停止のFWジウシーニョに代わり先発でピッチに立つと、そのゴールへの嗅覚をいかんなく発揮した。

 後半10分、GKとの競り合いとなったFW前田遼一がゴール前に折り返すと、こぼれ球に反応。浮き球を左足ボレーでしっかりミートし、豪快にゴールネットを揺らした。真骨頂は後半28分の2点目だ。GK川口能活からのフィードを前田が頭でそらすと、スペースに飛び出し、並走するDF青山直晃を重戦車のようなドリブルで振り切り、豪快に右足を振り抜いた。

 圧巻の2発デビュー。それでも「ゴールはチームメイトのおかげ。自分はゴールを決めただけ。きょう最高の選手は前田選手だと思う」と殊勝に語り、全得点に絡んだ“相棒”を称えた。

 昨季までKリーグの大邱FCに所属していたが、オフに欧州移籍を目指しながら交渉がまとまらず、無所属の状況が続いていた。磐田への入団が決まったのは今月2日。韓国代表としてW杯アジア最終予選などには出場していたが、実戦の機会は限られていた。チームに合流したのも7日で、連係を深める時間は決して多くなかった。前半は消えている時間が長かったが、ここぞのチャンスを逃さなかった。

 「ゴールを決めるまでのプレーは良くなかった。もっと動かないといけない。ただ、チャンスが来たときには最大限の集中力で臨もうと思っていた。1回はチャンスが来ると思っていた」。その最初のチャンスが後半10分の先制点の場面だった。言葉通りの集中力で決定機をゴールにつなげると、後半28分には「自分のストロングポイント」という裏への飛び出しから狙い通りの2点目を奪った。

 昨夏の北京五輪にも出場し、韓国代表としても19試合の出場で8得点を決めている。A代表のデビュー戦となった07年6月29日のイラク戦(3-0)でもゴール。昨年10月15日のW杯アジア最終予選・UAE戦(4-1)で2得点、11月19日の同サウジアラビア戦(2-0)で1得点を決め、最終予選では得点ランキングトップタイの3得点をマークしている。大事な局面でゴールを決める「決定力」は本物だ。

 チームも今季公式戦8試合目で待望の初勝利を飾り、最下位を脱出した。「チームが初勝利ということで、みんなが喜んでくれたことが自分もうれしい。もっと上を見て、満足せずやっていきたい」。次節25日の京都戦には、ここまで4得点のジウシーニョも出場停止から戻ってくる。前田も前節・千葉戦に続く2戦連発と復調の兆しを見せている。得点力不足にあえいでいたサックスブルーに現れた救世主。熾烈なFW争いとともに巻き返しの準備が整った。

<写真>先制点を決めたあとの磐田FWイ・グノ(33番)
(取材・文 西山紘平)

TOP