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A代表メンバー発表、岡田監督会見要旨

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 日本サッカー協会は21日、キリン杯2試合、W杯アジア最終予選3試合に臨む日本代表メンバー26人を発表し、MF山田直輝(18=浦和)、DF槙野智章(22=広島)が初選出された。
以下、岡田武史監督の記者会見要旨

岡田武史監督
「キリン杯2試合、W杯最終予選3試合のトータル5試合を通して戦うメンバーを26人選んだ。Jリーグ等も含めて現状で力の分かっている選手、新たな刺激を与えてくれる選手の両方を考えて、バランスよく選考をしたつもり。まず、予選に勝つためのメンバーを選んだ。26人は少し多いように感じるかもしれないが、5試合をこのメンバーで戦う中で、その間にいろんな経験、コミュニケーションを取ってもらいたいと思って選んだ」

―選手は過密日程で疲労もたまっていると思うが?
「キリン杯では、ウズベキスタン戦にベストなコンディションで臨めるようにスタメンや出場時間を考えたい。キリン杯の試合の翌日は2試合とも完全にフリーにする。ウズベキスタン戦に集中できるようにしたい。ウズベキスタン戦、カタール戦と2試合やってからも、少しフリーの時間を与えようと思っている。最終予選の大事なところで選手にリフレッシュは必要ないかもしれないが、ゴールデンウィークを含めて連戦をやっているので、気を付けていきたい」

―ウズベキスタン戦でW杯出場権を獲得した場合、そのあとの選手のモチベーションはどう保つつもりか?
「心配はしていない。我々の目標はW杯でベスト4になることで、それに本気でチャレンジしているつもり。出場権を取ったことでモチベーションが落ちるようでは話にならない」

―山口、槙野、山田直輝の招集については?
「山口に関しては、当初は寺田を考えていたが、ケガで無理ということで、バックアップになる選手を選んだ。経験があって、チームにプラスのメンタリティーを与えられる選手。いざというとき、DFを統括できる選手ということで呼んだ。
 槙野は広島では3バックのストッパーだが、ほぼ4バックの左サイドバックというイメージ。この間のナビスコ杯では右サイドバックという感じだった。未知数だが、ポテンシャルは攻守に感じる。一度呼んでみたいと思った。
 山田はまだ18歳で、とにかく目の前のことを必死でやっている段階だと思う。こういう時期に代表に呼ぶのはどうなのか考えたが、彼の性格を聞いて、勘違いしたり、逆に憶病になったりする選手ではないという情報を得て、招集を決めた。(田中)達也もそうだが、彼が動くことによって周りも動く。スイッチを入れることのできる選手。達也がいない中で、すぐに試合に出れるかはともかく、一度呼んでみたいと思った」

―W杯出場まであと1勝と迫っているが、今の心境は?
「客観的に見て、あと勝ち点3でW杯への出場権が取れる。あと一歩まで来たと思われるのは当然だが、これまでいろんな経験をしてきて、もう大丈夫と言われて、そこから覆ったことを何度も見てきた。見ている人は“まさかそんなことが”と言うが、我々はそれでは済まない。近づいたと言っても、まだ何も手にしていない。
 北海道の友人で、解体屋の社長をしている人がいる。100mの煙突に上ると、地上のものは点に見えるが、そこから15m、20mのところまで降りてくると、飛び降りても大丈夫という気になるんだという。でも、飛び降りればケガをするし、死ぬ可能性もある。ほとんどの事故はそれぐらいの高さで起きるということだった。
 我々も今、15mのところまで来ているかもしれない。だが、はしごを使って一歩ずつ降りなければならない。ウズベキスタンに勝つことに集中するだけ」

―海外組の合流時期については?
「本田はもう日本に帰ってきているので、最初から合流できる。長谷部と大久保はチームの優勝の懸かった試合が23日にある。24日の飛行機に乗れば、25日の初日の練習にも間に合うが、乗せてもらえるかどうかは向こうの監督次第。まだ分からない。俊輔は26日に帰国する。松井はウズベキスタンで合流する。
 彼らは自分たちのやることはもう分かっていると思うし、本田も2部リーグながら36試合に出場して16得点を決めた。Jリーグでも出場試合の半分近く点を取っているのは高原と中山だけだと思う。リーグのレベルはともかく、それだけ点を取ったということで、得点に期待している」

―興梠は胸部をケガしているということだが?
「きょうの午前中にCTの検査を受けて異常ないということだった。ただ、痛みは残っていて、キリン杯の第1戦に間に合うかは未定という報告を受けている」

―W杯出場権を取ることと同時に、来年の本大会に向けてチームの強化も進めなければならないと思うが?
「考えてないわけではないが、チームはウズベキスタンに勝つことに集中させたいので、あとのプランについて今の時点で話すことは勘弁してもらいたい。選手にもウズベキスタン戦に最大の集中力を持って臨んでもらえるようにしたい」

―ウズベキスタンの印象は?
「(昨年10月に)我々がやったときからは何人か新しい選手も入ってきている。ただ、戦い方に大きな変化はない。リーグ戦を延期にして親善試合をやるという情報も入っているので、それをコーチに見てもらってから判断したい」

―田中達也がケガでいない中、玉田も故障を抱えていて、大久保もチームで出場機会に恵まれていないが?
「玉田については、他の選手が過密日程で疲れている中、元気なんじゃないかなと。1、2ヵ月休んでいるわけじゃないし、ケガも重傷ではないので、心配はしていない。大久保も、ボルフスブルクの練習はいつも紅白マッチを1時間近くやっているそうで、試合感覚はそれほど心配する必要はないと思っている。それ以外の選手もいるし、このメンバーで十分やれると思っている」

―俊輔もケガを抱えているが、コンディションは?
(セルティックを視察した原博実技術委員長が回答)
「私が行ったのはレンジャーズとの大一番のときで、前日練習と試合を見て、本人とも話したが、体のことを心配したら“大丈夫”と話していた。試合を見ても足のケガのことは分からないぐらいだった。そのあとも試合をやっているし、彼ならいいコンディションで調整してくれると思っている」

―26人全員をウズベキスタンに連れていくのか?また、出場権を獲得した場合に追加招集などはあるのか?
「ウズベキスタンには全員連れていく。追加招集に関しては、ケガをした場合などは可能性があるが、この5試合を戦う上で必要なメンバーを選んだので、(W杯出場が)決まった、決まってないで、追加することは考えていない」

―インフルエンザ対策、選手の健康チェックなどは特別なことをするのか?
「きょうの記者会見にもマスクをして来ようかと思ったけど、記者の皆さんがみんな(マスクを)してきてくれるだろうと思っていたら、ひとりしかしてなかった(笑)。
 選手がひとりでも発症したら、チーム全員がウズベキスタンに行けないのか、ひとりだけが行けないのか、(ホテルの)フロアを分けるのがいいのか、などそのあたりの判断は医療サイド、協会サイドに任せている。手洗い、うがい、湿気を保つとか、通常のことしかできない。特にホテルで全員にマスクをさせるとかは考えていない。全員で外に出るときはマスクをした方がいいとかあるのかもしれないが、基本的に打つ手はないのかなと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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