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まるで反省会…ため息誘った凱旋試合に闘莉王「腐った試合」

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[6.10 W杯アジア最終予選 日本1-1カタール 日産ス]

 試合直後にピッチ上で行われた「W杯出場決定報告会」は、まるで反省会のようだった。サポーターへの挨拶のためマイクの前に立った岡田武史監督の第一声は謝罪の言葉だった。

 「ホームに戻ってきて、いいゲームを見せたかったが、選手を生かしてあげることができなかった。申し訳ございません」

 笑顔で4大会連続のW杯出場をファンに報告するはずが、ふがいない試合内容に岡田監督の口から出るのは反省の弁ばかり。笑顔どころか、苦虫をかみつぶしたような表情だった。

 予選突破を決めたことによる気の緩みか、連戦の疲労か。MF長谷部誠、MF遠藤保仁、DF長友佑都ら主力を欠いていたことも、主審のジャッジに悩まされたことも言い訳にはできない。運動量も連動性もなく、“凱旋試合”は観客のため息を誘ってばかりだった。

 「こんな腐った試合、ダメ」。DF田中マルクス闘莉王はそう吐き捨てた。「試合を難しくしたのはオレたちだから。1回ぐらい、叩かれた方がいい。覚悟を持つためにはね」

 6日のウズベキスタン戦に勝ってW杯出場を決めた岡田ジャパン。ウズベク戦後のピッチでは「世界を驚かす覚悟がある」とプリントされたTシャツを着て歓喜に沸いたが、この日の試合を見る限り、選手にW杯ベスト4を本気で目指そうという「覚悟」は感じられなかった。

 「新たな目標へのチャレンジの第一歩」。そう位置づけていたカタール戦で、あっけなくつまずいた。プレーオフに回る3位に入る可能性を残していたカタールに、運動量でも、切り替えの速さでも、気持ちでも負けた。

 GK楢崎正剛は「僕らの力が試されるゲームだった。悔しいですね。いいゲームじゃなかった」と唇をかみ、FW玉田圭司も「W杯出場を決めたことによる安心感?そう言われてもしようがない。思ってないと思うけど、そう思ってたかもしれないし。安心感がアダになったのかな。日本はバラバラだった」と厳しい口調で話した。

 チームはいったん解散し、12日にはオーストラリアに向け出発する。17日にはメルボルンで、いまだ無失点のままA組首位を走るオーストラリアと対戦する。遠藤、長谷部、大久保に加え、今度はMF中村俊輔もいない。主力の大半を欠く中での試合になるが、次こそは日本のプライドを見せてほしい。それができなければ、「W杯ベスト4」など、ただの夢物語に過ぎない。

<写真>サポーターに深々と頭を下げる岡田監督
(取材・文 西山紘平)

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