beacon

ロスタイムの悪夢…鹿島が136日ぶりの"敗戦"

このエントリーをはてなブックマークに追加

[7.29 ナビスコ杯準々決勝第2戦 川崎F3-0(延長)鹿島 等々力]

 あと数秒、あとワンプレーで鹿島アントラーズの準決勝進出は決まっていたはずだった。1-0で先勝したアドバンテージを生かし、90分間は狙い通りの試合展開。しかし、後半ロスタイム4分に悲劇が訪れた。

 1対1の形からFWジュニーニョにまさかの“同点ゴール”を許したDF岩政大樹は敗戦の悔しさを押し殺し、あの場面のことを詳細に振り返ってくれた。

 「シュートの選択肢はなくはなかったと思うけど、クロスの確率が高いと思っていた。それにPKを取られるのも怖い。PA内だとジュニーニョはPKを誘うドリブルもしてくるから。シュートはニアサイドを破られたけど、ニアを切りに行くと、切り返されるので、ああいう場面では食いつかないのがディフェンスの鉄則。食いついて切り返されるのを一番恐れていた。ニアを破られたら、DFとしてはしょうがないというか、相手のシュートが上だったということになってしまう。悔しいですけど、次に同じ局面が来ても、僕には飛び込むことはできない」

 失点シーンばかりがクローズアップされやすいが、最近のリーグ戦同様、“リード”している試合終盤に相手に押し込まれる展開を強いられたのが、そもそもの敗因だった。岩政は「リーグ戦もきょうと同じような展開で、相手につながれて、ゴール前まで来られている。今まで結果が出ていたがために、そこを突きつめられてなかった。ああいう風にゴール前で守る形になれば、いつかは入る」と力説する。

 高い位置からプレッシャーをかける、マイボールにして安全な地域でボールをキープし、時間を消費する。鹿島らしい老獪な試合運びができていないことが根本の問題だ。「3点とも素晴らしいシュートだった。悔しいけど、相手をほめるべきだと思う。3点とも確率の高いシュートを打たせたとは思ってないし、DFラインに大きな問題があったとも思わない。ただ、確率の低いシュートでも入れる選手はいる。ギリギリのシーンを減らしていかないと、自然とこういうことも起こる。もっと前のところで止めるというか、ゴール前に張って守るんじゃない形にしないと」。岩政は厳しい口調で話した。

 鹿島が国内公式戦で敗れたのは、3月15日のJリーグ新潟戦(1-2)以来、19試合ぶりだった。実に136日ぶりとなる黒星が、3連覇へ独走態勢に入ったリーグ戦にどう影響するか。次戦は中2日、アウェーでの広島戦。DF内田篤人は「これをJリーグに響かせちゃいけない。次が大事だと思う」と自分に言い聞かせるように話していた。

(取材・文 西山紘平)

TOP