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300試合出場の中澤、けがを感じさせず“無失点復活”

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[8.16 J1第21節 F東京0-0横浜FM 味スタ]
 まるでけがを感じさせない。さすがの一言だった。横浜F・マリノスの日本代表DF中澤佑二が、右眼窩底骨折から復活。勝利こそつかめなかったが、完璧な守備を披露して“無失点復帰”を果たした。
 「しっかり練習できたんで問題なかった。患部の痛み? 右からは(ヘディングに)あまりいかなかったからね。左側だけいった。平山もカボレも不用意に行く(飛び込む)と、彼らにいかれる可能性があった。自分のタイミングで飛び込みました。勝ちたかったですが、僕はDFなんで、無失点に押さえることが大事だった」
 中澤は引き分けを悔しがりつつも、充実感を漂わせた。7月29日のナビスコ杯・G大阪戦で負傷。全治約2週間と診断された。1日の京都戦は欠場したが、しっかりと2週間で復帰した。ヘディングなど競り合いに影響する箇所だったが、そこはこの日、史上43人目のJ1通算300試合出場を達成した経験豊富なDF。格の違いを見せ付けた。
 FC東京の快足ストライカー・カボレ、FW平山相太にまったく仕事をさせなかった。ボールが足元に入れば体を寄せて前を向かせない。ハイボールはタイミングよく飛び、弾き返した。後半5分には、ペナルティエリア前でFWカボレに縦パスが入ったが、スピードで負けずに体を寄せ、GKに取らせた。同8分にはFW平山にボールが入ったが前を向かせずブロック。平山はシュート0、カボレはやや遠目のシュート3本を打たせただけだった。
 プレーだけではない。ピッチ上の監督のように冷静な指示を送り、牽引した。終盤、チームは1点を取るため、パワープレーにいくよう指示が出たという。ミーティングであまり話し合っていなかった戦術。中澤は「勇蔵(DF栗原)とかに、あまり行き過ぎないように、不用意に行くとやられる」とアドバイスした。得点を取りに行く時間帯なのは承知してたが、バランスを失い、カウンターを食らっては意味がない。味方選手に声をかけ、冷静に判断するよう訴えた。猛攻を受けたが、何とかしのいで見せた。
 
 「次の大宮戦はホームでやるんで、しっかりと勝ちたい。いい形で勝って、順位を上げたいですね」。現在11位と優勝戦線からはかなり遠のいているが、チームの目標はACL出場。中澤はまだ、あきらめてはいない。
<写真>横浜FM・DF中澤
(取材・文 近藤安弘)

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