日本代表合宿も2日目に入りました。新顔も増えた今回、選手たちはよりいっそう、チームコンセプトを確認すべく、積極的に練習を重ねています。台風の影響による試合開催の可否が心配ですが、いよいよあす8日は香港戦です。W杯での成功に向け、どう活かせばいいのか-。7日は本サイト記者の提言も掲載いたします。

ゲキサカライター・近藤安弘の「提言」

　岡田武史監督に提言したいのは、戦術のオプションを増やすことだ。メンバー選考に関しては、今までマンネリ化していたが、今回はJで好調な清水勢、石川直宏、佐藤寿人のほか、懸案のSBにフィジカルが強い“世界戦用”の徳永悠平を招集したので評価できる。市川大祐が呼ばれなかったのは、やや残念だが。。。

　話を戻し、戦術のオプションを増やすというのは、違う「戦い方」を身に着けようということ。当然、本田圭佑、森本貴幸を先発させるとか、岩下敬輔、岩政大樹を中澤佑二、田中マルクス闘莉王の代役として試すとか、新戦力のテストは当たり前。そのうえで「戦い方」においても、しっかりとテストをしてもらいたい。

　これまで岡田ジャパンは「接近・展開・連続」をテーマに、90分間、絶えず前からプレスをかけてボールを奪い、攻撃に転じるサッカーを標榜してきた。一様の成果はあったが、しかしこれは9月のオランダ遠征で、世界レベルを相手にすると体力的にもたないことが判明した。ある程度、60分間前後は通用しても、残りの30分は一気に破綻してしまう。

　そこで、しっかりと守りながらの「カウンター攻撃」、中盤やDFでボールを回しながらゆっくりと攻め、隙を見つけるや攻撃のスイッチを入れる「遅攻」を取り入れてもらいたい。90分間、すべてでそうするのではなく、前述した基本コンセプトはそのままに、相手の戦い方を見たうえで、一試合のうちにこれらの戦い方を切り替えていくということだ。

　たとえば、相手が前半から積極的に来た場合はカウンター狙いにし、後半に相手が疲れを見せてくると一気にプレスをかけてゴールを奪うとか、相手が様子見をしてきた前半に一気にプレスをかけてゴールを狙い、後半は遅攻で様子をみながら、カウンターを狙う・・・など、状況に応じてやってもらいたい。前・後半単位ではなく、15分単位で変えるケースもあるだろう。もちろん、積極的に来る相手に対し、こちらも前から積極的に行く、という戦術が有効な場合もある。とにかく、今のままではワンパターン。世界レベルでは、これほど分かりやすいサッカーもない。

　試合中に戦術を変えるためには、練習はもちろん、指示を出すピッチ上の監督が必要となる。また、途中出場の選手の起用の意図などを試合前から明確にし、選手に理解させることが大事だ。たとえば、「佐藤寿人を入れたら、カウンターに転じる」「本田圭佑を入れたら、ドリブルで仕掛けられるようスペースを作り、パスを出せ」という具合にだ。
　　　
　選手個々の起用法についても、お願いしたいことがある。中村俊輔のスパーサブ起用をテストしてほしい。今の日本代表で、一番実績があり、チームの中心なのは分かるが、たとえばW杯本番で、あきらかに日本より格上、ドイツW杯でいうクロアチア(ブラジルは格が上過ぎるので)から勝ち点3を奪わないといけないときに、前半はフィジカルが強く、守備能力の高い選手を中心に戦って0-0でしのぎ、相手を疲れさせる。そして、後半15分からの残り30分間で、俊輔のパスセンス、セットプレー能力にかける。

　もちろん、俊輔もフィジカル、運動量を備えているが、勝つために、30分間のうちに発揮してもらおうという分けだ。おそらく、これが一番、戦い方に変化が現れ、相手チームも混乱するのではないか。俊輔が先発していないだけでも、相手は不気味に思うだろう。もし、それでも俊輔が封じられたら、同様のことができる遠藤保仁や中村憲剛にゲームメイクを任せるとか、臨機応変さも必要だ。　この際は、俊輔に合う、スペースに走れるFWなどとセットで投入する必要がある。

　いずれにせよ、やることはたくさんある。すべてをクリアにすることは無理だが、前述した内容程度は、すぐにできること。既存の岡田サッカー、そして主力選手の力はかなり成熟してきており、上積みはあまり期待できない。ここは一度、壊して“化学変化”を起こすことが必要ではないだろうか。万が一うまくいかなくても、これまでやってきたサッカーは基本的なものなので、戻すのは簡単だと思う。この3試合であえて、“冒険”をしてもらいたい。


▼識者の提言はコチラ
「新戦力のテストと俊輔抜きの戦い方を」
「森本を3試合連続で起用しフィットさせよ」

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