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[大学選手権]関東勢4強独占阻止!九産大が43年ぶり4強進出!

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[12.23 第57回全日本大学サッカー選手権準々決勝 国士舘大 2-3 九州産業大 平塚]

 九州王者が関東勢の牙城の一角を崩した。全日本大学サッカー選手権は23日、準々決勝が行われ、平塚競技場の第2試合では関東1部2位の国士舘大と九州産業大(九州1)が激突。延長前半9分に09年ユニバ日本代表候補のFW財津雄太(2年=情報科学高)が決勝ゴールを挙げ、九州産業大が3-2で勝った。九州産業大は09年1月7日の準決勝で中央大(関東4)と対戦する。

 天皇杯で4回戦にまで進出している国士大は4-4-2システム。GKが内藤圭佑(3年=広陵高)で4バックは右から鈴木達也(3年=大和南高)、川邊裕紀(3年=青森山田高)、濱屋祐輝(3年=柏U-18)、天野恒太(3年=常葉橘高)。中盤はU-19日本代表のMF吉野峻光(1年=静岡学園高)と小島暢明(3年=遠野高)を中央に、右がユニバ代表候補の柏好文(3年=韮崎高)で左が大竹隆人(2年=三菱養和SCユース)。2トップは武岡優斗(4年=大谷高)と天皇杯でJ1王者・鹿島から豪快なミドルシュートを決めている高橋大(3年=盛岡商高)が入った。
 一方の九州産業大は4-5-1の布陣。岐阜加入内定のFW朴俊慶(4年=大分高)を1トップに配置し、トップ下の位置に財津と渡辺昭文(4年=大分高)が入った。その後ろに江濱慎介(2年=国見高)、戸田翔太(4年=長崎日大高)、清田芳浩(2年=大分高)が3ボランチ気味に並び、4バックは右から森重雅人(4年=大分U-18)、増本賢佑(4年=福岡U-18)、藤淳二(3年=東福岡高)、大迫慎乃介(2年=東福岡高)。GKは溝ノ上一志(3年=鹿児島実高)が先発した。

 勝った九産大も、敗れた国士大も泣いていた。両チームともに退場者を出した110分間の激闘。その末に勝ち名乗りを上げたのは九州産業大だった。2-2で迎えた延長前半9分、九産大は朴からのパスのこぼれ球を拾った財津が相手DF2人のマークを巧みに外して決勝ゴール。2-0とリードしていた後半10分に退場者を出してから10人対11人の戦いを耐える一方だった九産大が、延長で先に試合を動かした。「どういう指示を出したのかも覚えていない」と籾井徹司監督が苦笑しながら振り返った延長後半の10分間、GK溝ノ上やDF増本、藤らが相手の攻撃を懸命に跳ね返すと、国士大FW松本祐樹(2年=西武台高)が退場したこともあり、歓喜の瞬間が訪れた。
 
 九産大は、本来右SBの山口大将主将(4年=佐賀東高)が3ヵ月間苦しんできた左ヒザの負傷の影響で、この日ベンチから外れた。ゲーム主将を務める増本は山口に「絶対に勝つから」と誓っていた。決勝点を決めた財津は「4年生のために頑張った。4年生が喜んでくれたことがうれしかった」と頬を緩ませた。J1王者・鹿島と天皇杯でPK戦までもつれ込む熱戦を演じている“格上”に勝ったのは、試合後にチームの誰もが口にした、深い絆で結ばれたチームワークと気持ちで相手を上回ったからだった。
 前半7分に左サイドをドリブルで破った財津の左足シュートがポストを直撃。跳ね返りを江濱が冷静に沈めて先制した。そして後半5分には再びドリブルシュートからポストを叩いた財津のシュートのこぼれ球を朴がゴールへと結びつけた。抜群の切れ味を見せる国士大MF柏に立て続けに2ゴールを決められたが、増本が「負ける気は全くしなかった」と振り返ったとおり、前線の核である柏と高橋や天野、斉藤雄大(4年=FCみやぎバルセロナユース、後半24分から出場)の両SBを中心にゴールへとなだれ込もうとする国士大を粘り強くかわしていく。「何が上回ったかというと、勝ちたい気持ちが上回ったのだと思います。今年のチームはよく頑張るチーム。メンバーに入れない4年生のためにも、と頑張ってくれた。(メンバーも、控えも)本当にいい子たちばかり」と指揮官は選手達への感謝を忘れなかった。

 これで1965年以来43年ぶりの4強。中央大との準決勝へ向けて九産大・朴は「ここ(4強)で満足するんやったら負けていた。ベスト4らしい戦いを、九州の誇りを持ってやりたい」。そして財津は「また4年生のために頑張ります」。準決勝でもこれまでと変わらず、チームのために戦うことを誓っていた。

<写真>43年ぶりの4強進出を喜ぶ藤(右)ら九産大イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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