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中国代表DF孫吉(スン・ジ)、中田ヒデ親善マッチで“世界デビュー”

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 元日本代表MF中田英寿氏が呼びかけ人となって開催される親善試合「+1 FOOTBALL MATCH」(7日、日産ス)に出場するJAPAN STARSとWORLD STARSのメンバーが5日、発表された。元オランダ代表MFエドガー・ダービッツ(アヤックス)や元イタリア代表FWサルバトーレ・スキラッチ(元磐田)ら輝かしい実績を残している選手たちで構成されるWORLD STARSで今回、現役中国代表の右SBが“世界デビュー”を飾る。

 中国屈指の強豪クラブ・上海申花の不動の右SB孫吉(スン・ジ、26)は182cmの長身で個人技によるダイナミックな突破と正確なクロスボールを武器とする大型SB。ジュニアユース世代から常に各年代の中国代表に名を連ねてきた“エリート”プレーヤーだ。クラブでは双子の弟で同じく中国代表のDF孫祥(スン・シャン)が左SBを務めていることから「兄弟SB」としても抜群の人気を誇っている。中国リーグ(CSL)における今季序盤戦(第1クール=第6節まで)のプレーは中国の人気テレビサッカー番組のリーグベストイレブンに選出されているほど充実。リーグ2位につけるチームを支えている。4月には中国代表のアメリカ遠征メンバーにも選出された。

 昨年はACLで浦和との対戦も経験。強豪クラブの中核を担う孫吉は、過去にはオランダの名門・PSVのトライアウトにも参加するなど強い欧州志向を持っている。「ひとりのプロプレーヤーとしてヨーロッパで活躍したい。最近2、3年の中国リーグ(CSL)は大きくレベルアップできている。だが、中国のレベルはヨーロッパと比べられるレベルにはない。強豪クラブですぐに試合出場できる可能性は低いが、1、2年現地のクラブで練習を積んでレベルアップしていければいい」。今回、WORLD STARSはインテル(イタリア)の監督就任が決まったばかりのジョゼ・モウリーニョ氏が指揮を執るだけに「モウリーニョは個性的で非常に優れている監督。彼の元でプレーできることは楽しみ。自分自身のアピール? もちろんしたいね」と目を輝かせた。
 
 世界中にある様々な問題を知ること、そして地球の未来ための行動を起こすきっかけ作りを唱える「+1 FOOTBALL MATCH」出場を決めた理由は「環境問題、貧困問題などのことをみんなが注目すべき、知るべきだと思ったから」と口にした。先月の中国西部大地震ではすぐに義援活動に協力。自分の練習用シューズをチャリティに出すことなどした。普段から上海の孤児の見舞いに訪れるなど社会活動に対しては以前から精力的だった。ただ自らが活動するだけでなく、問題を知ることの重要性も唱えている。
 実は今回の「+1 FOOTBALL MATCH」には兄弟での出場を打診されていた。だが、弟の孫祥がW杯アジア3次予選に臨む中国代表に選出されたため辞退。それでも孫吉は「面識はない」という中田氏の呼びかけに賛同し参加を決意、5日夜に来日し、7日に試合という強行日程でもプレーすることを選択した。弟の孫祥は04年にスペインで行われたMFジネディーヌ・ジダン(元R・マドリー)とFWロナウド(ミラン)中心に開催されたチャリティーマッチに出場している。今回、弟に続く“世界デビュー”を果たす孫吉は「プレーの態度がマジメであることを見せたい。5日まで上海で練習をしていたので体力的な問題は全くない。チケットがソールド・アウトしていることも聞いている。(7万人の観衆の前で)ベストを尽くしたい」と明日の試合へ強い意欲を燃やしていた。

(取材・文 吉田太郎)

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