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[FCWC]攻守にメリハリ、試合巧者の南米キトが決勝進出!!

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[12.17 クラブW杯(FCWC)準決勝 パチューカ0-2LDUキト 国立]

 FIFAクラブW杯・準決勝が17日、土砂降りの国立競技場で行われ、パチューカ(北中米カリブ海代表/メキシコ)とLDUキト(南米代表/エクアドル)が激突した。ラテンアメリカ対決となった準決勝は、前半に2得点を決め、後半45分を分厚い守備で凌ぎ切ったキトが制し、21日の決勝戦進出を決めた。

 準々決勝でアルアハリ(アフリカ代表/エジプト)を逆転で下し上昇気流に乗るパチューカは、この日も3人のアルゼンチン人を前線に配した3-4-3の布陣。ストライカーFWマリオニを頂点に、右にはアルアハリ戦で2得点を決めたヒネメス、左に決勝ゴールを入れたアルバレスを配した。
 一方、初出場のキトはアルゼンチン人のFWビエレル、MFダミアン・マンソをトップ下に、左翼に攻撃の要・MFルイス・ボラーニョスが入った。キトはリベルタドーレス杯で11得点を稼ぎだした最強の三角形を前線に置く4-2-3-1のフォーメーションで臨んだ。

 開始早々ゲームを動かしたのは前半4分、キトだった。マンソからアタッキングゾーンにスルーパスが出ると、パチューカDFマンスールがスライディングでカット。しかし、そのボールがDFロペスに当たりゴール前に転がった。そこへ、"待ってました"とばかりに詰めていたビエレルが渾身の一振り。キトはパチューカDFの連携ミスを突き、電光石火の先制劇を見せつけた。キトはその後も前線の三角形の連動をフル回転させ、マンソ、ビエレル、ボラーニョスがシンプル且つコンパクトに繋ぎ、簡単にゴール前にボールを運んだ。追加点が生まれたのは前半26分。マンソがPAにパスを出すとパチューカDFマンスールが痛恨のハンド。キトは絶好の位置でFKを得ると、レフティのマンソが蹴ると見せかけて、ボラーニョスがコンパクトなモーションからすかさず右足シュート。ボールは緩やかながらもGKの泣き所、ゴール右上に突き刺さった。パチューカの壁が整備されていない隙を狙った南米らしいしたたかなゴールシーンだった。
 準々決勝同様に前半から2点のビハインドを負ったパチューカも一気に攻勢を強める。パチューカの前半のハイライトは、前半32分の猛攻。右サイドのMFロハスからゴール前へ長いクロスが入ると、FWアルバレスが目の覚めるようなダイレクトボレー。その直後にもPAに侵入したFWクリスティアン・ヒメネスが右足でキトゴールを強襲。GKが弾いた球をMFカルデナスが後方から飛び込みヘディングで襲いかかった。キトはこの猛攻を厳しい寄せや厚みのあるDFで凌ぎ、2点リードのまま前半を折り返した。
 
 後半、劣勢のパチューカは左翼のカルデナスをMFアギラルに入れ替え、右翼にはコレアを外しMFモンテスを置いた。パチューカはチャンスを窺いつつ中盤でゆっくりとボールを回し、暫くの間ポゼンションで優位に立つ。しかし、キトの両ボランチ、SBカンポスらのスタミナ豊富なチェイスに有効なパスの出し所、シュートコースを塞がれ攻めあぐねた。後半も30分を過ぎ、攻め急ぐパチューカがゴール前にボールを運ぶと、引き気味のキトは一枚、また一枚と守備に厚み重ね見えない壁を作り上げる。キトは壁を高く構えボールを奪取すると、すかさずマンソ、ボラーニョスがカウンターアタックを仕掛け、試合巧者ぶりを見せつけた。結局、パチューカは後半だけで10本以上のシュートを打ち込むも、最後までキトの屈強な壁を突破できず、2-0で南米代表のキトが勝利した。
 FCWC初出場にして決勝進出を決めたキトは、明日行われるマンチェスター・ユナイテッドvsガンバ大阪(準決勝第2戦)の勝者と、21日19:30からの決勝戦で激突する。一方、北中米カリブ代表としての決勝初進出を絶たれたパチューカは、その敗者と3位決定戦で対決することとなった。

<写真>得点を喜ぶLDUキトMFマンソ(21番)とFWビエレル(16番)
(取材・文 山口雄人)

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