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[戦評]南米の奥の深さを思い知らされたLDUキトの強さ(パチューカvsLDUキト)

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[12.17 クラブW杯(FCWC)準決勝 パチューカ0-2LDUキト 国立]

田村修一の「視点」

 もっと拮抗した試合になるかと思っていたが、想像以上に力の差があった。この大会の興味のひとつに、欧州、南米の壁をどこが最初に破るか、というのがある。試合前は、このゲームが一番、その可能性が高いのではないかと思っていたが、“第3世界”のチームはまだまだ欧州、南米にかなわないことを見せつけられた。これがブラジルやアルゼンチンのチームではなく、エクアドルのチームだったのだから、南米の層の厚さ、奥の深さを思い知らされた感じだ。

 パチューカの2失点には不運な面もあったが、LDUキトは相手を切り崩す力を持っていた。カウンターにもきっちりとした意図があり、プレーと判断の速さ、正確さを持ってパチューカの穴を突いていたし、前線のビエレル、ダミアン・マンソ、ルイス・ボラーニョスの3人はフィニッシュまで持っていく力を持っていた。

 そして監督も言っていたように、守備の堅さも印象的だった。守備重視の4-4-2で、しっかりとブロックをつくり、後半はパチューカにボールを持たせて攻めさせていたが、そのブロックは最後まで崩れなかった。2列目を突破されても最終ラインで抑えていたし、パチューカがあれだけ前線に人数をかけてボールを支配していても、DFラインが崩れることはなかった。

 決勝の相手はまだ分からないが、たとえマンチェスター・Uが勝ち上がってきても、一筋縄ではいかないだろう。マンUにはひとりで違いを生み出せる選手がいる。そこでキトの守備にほころびをつくり、そのほころびが閉じる前に、さらに広げることができるかどうかがポイントだ。キトも穴が空くのは承知の上で、すぐさまふさごうとするはずで、その攻防を見るだけでも、相当面白いゲームになるはずだ。

 もちろん、G大阪には頑張ってほしいと思っているし、今日の試合の前までは、G大阪がマンUに勝つ可能性も2割か3割はあるのではないかと思っていた。ただ、この試合を見終わって今思うのは、やはり欧州、南米の壁はとてつもなく高いだろうということだ。

<写真>戦況を見つめるLDUキトベンチ
(取材 フットボールアナリスト田村修一)

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