beacon

初出場で決勝進出のキト「今日は忘れられない日」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.17 クラブW杯(FCWC)準決勝 パチューカ0-2LDUキト 国立]

 「今日はクラブにとっても自分にとっても歴史的な忘れられない日になった」。ラテンアメリカ同士の対戦となった準決勝。クラブW杯初出場のキトは、世界随一の激戦区・南米を制覇した試合巧者ぶりを見せつけ、パチューカ(北中米カリブ海代表/メキシコ)を一蹴した。
 「最初のゴールが全てだったね」。自身の先制弾で"忘れらない日"にしたFWビエレルがそう振り返ったように、キトは前半4分に相手DFのミスを突き先制すると一気に攻め込む。主力のダミアン・マンソ、ビエレル、ルイス・ボラーニョスがシンプル且つコンパクトに繋ぐと簡単にゴール前にボールを運び、相手ゴールを襲った。前半26分にはマンソが相手DFのハンドを誘うとマンソが蹴ると見せかけて、ボラーニョスがすかさず右足シュート。味方の壁で相手GKの視野を遮るしたたかなセットプレーで加点に成功。「いつも通り。いつもあのような練習はやっているからね」。ゴールを決めたボラーニョスはニヤリと笑う。その後は無闇に攻め込まず、鉄壁の守備網を敷き、静かに、クールに後半45分を守り抜いた。
 キトは南米・リベルタドーレス杯で、強豪・フルミネンセ(ブラジル)やクラブ・アメリカ(メキシコ)を次々と撃破。その裏には、3-2-4-1(ホーム時)と4-2-3-1(アウェー時)を状況によって巧みに使い分けてきた点がある。この日は前半からより守備的な4-2-3-1だった。「とにかくDFに力を入れた。パチューカはボールを回してくるチームなのでそこを止めようと思い、それが成功した。(今日は)守りをどう固めるかに集中していた」。試合後、指揮官のバウサ監督は勝因を誇らしげに語った。2点リードしたキトは、運動量の多い両ボランチや最終ラインが次々と相手の前に立ちはだかりスペース潰しに終始。集中豪雨のような厚みで、相手に無駄なパスを回させ、疲れさせて追い詰めていった。パチューカはボールを回し試合を支配しているように見えたが、試合巧者のキトが裏で巧みにコントロールしていた。「後半ゲームを支配したが15分で攻め疲れた。サッカーがやり辛かった。これが敗因」。パチューカFWアルバレスの言葉がそれを如実に表している。
 「想像していた通りの試合だった」。指揮官がそう語ったように、理想的な内容で初出場にして決勝に駒を進めたキト。次はいよいよ決勝戦だ。その相手は明日の夜、横浜で決まる。

<写真>LDUキトの整列写真
(取材・文 山口雄人)

TOP