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2戦3発のルーニーが得点王&MVP、「最高の気分」

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[12.21 クラブW杯(FCWC)決勝 LDUキト0-1マンチェスターU 横浜]

 「世界最恐」のストライカーのひと蹴りが、赤い悪魔に世界最強の称号をもたらした。マンチェスター・ユナイテッドが前身のトヨタ杯時代の99年大会以来、9年ぶり2回目の世界王者に輝いた。後半28分、FWクリスティアーノ・ロナウドの横パスをFWウェイン・ルーニーが右足ダイレクトで振り抜くと、鋭い弾道のシュートがゴール右隅に突き刺さる。「ゴールを決められてうれしい。世界一はグレートフィーリングだ。これまでの努力が報われて、最高の気分だ」。自らのゴールでチームを栄冠に導いた背番号10は、興奮冷めやらぬ表情で試合を振り返った。

 後半4分にDFビディッチが一発退場し、残り40分間は10人での戦いを強いられた。4-4-1へのシステム変更を余儀なくされ、ルーニーは左サイドハーフに回った。それでも、信じられないほどの運動量で攻守に奮闘。不慣れなポジションに置かれてもチームを助けようと献身的に走り回った。ターンオーバー制を採用するクラブにおいて、欧州CLではベンチを温めることもある。だが、「ベンチにいるからといって、イライラしたり、ガッカリすることはない」とフォアザチームの精神を口にする。左サイドでのプレーにも「一生懸命練習すれば問題ない。新しい分野でも頑張る気持ちはある」と、チームが求めるのであればいつでも柔軟に対応する姿勢を見せた。

 時差ボケを嘆く選手が多い中、ルーニーは唯一「俺はいつもよく眠れる。何の問題もない」と言ってのけていた。その言葉通り、G大阪との準決勝では途中出場で2得点。この日の試合後も「明日、試合があっても大丈夫。プレーすることはできるよ」とタフネスぶりを見せつけた。

 2試合で3得点は単独得点王。大会最優秀選手に贈られる「ゴールデンボール」も受賞し、タイトルを総なめにした。「難しい試合だったけど、勝って帰るのと負けて帰るのでは全然違う。自信を持って帰れば、また勝ち続けることができる」と、熱戦が続くプレミアリーグ、さらには欧州CLに視線を向けた。「来年もまた世界チャンピオンになれるように頑張りたい。またこの大会に戻ってきたい」。世界王者に休む暇はない。イングランドに帰れば、今度はまたイングランド王者、欧州王者の座を守るための戦いが待っている。

(取材・文 西山紘平)

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