beacon

[戦評]攻撃の工夫の有無が決した決勝戦(LDUキトvsマンU)

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.21 クラブW杯(FCWC)決勝 LDUキト0-1マンU 横浜]

田村修一の「視点」

 予想通り、マンチェスター・ユナイテッドの「攻撃力」とLDUキトの「守備力」の戦いとなった。マンUは前半20分くらいまで怒涛の攻めを見せていたが、キトがその時間を凌ぎ切ったことでマンUは多少ペースダウン。あのマンUの攻撃が続いていたら、早くも試合が決していたかもしれない。後半はマンUの足が止まり、更には後半4分にCBビディッチが退場した。数的な優位性も加わって、厳しい時間帯を乗り越えたキトがペースを握るかと思われたが、キトには思わぬ落とし穴があった。キトは攻撃のパターンが少なく、その攻撃をマンUに読まれていた。キトは準決勝のパチューカ戦でも見て取れたように、元々MFボラーニョス、MFマンソ、FWビエレルら少人数で素早いアタックを仕掛けるチーム。その中で後半、マンUの守備の前に通用したのはマンソのみだった。キトはガンバ大阪のようにチーム全体でパスを回し続け相手を崩すというよりは、個人技、特にドリブルで打開を図るチーム。しかし、ビエレルやボラーニョスはマンUのCB陣にことごとくシャットアウトを食らってしまった。起点となっていたのはマンソくらいで攻撃のレパートリーを完全に封じられた。キトはビエレルやボラーニョスが機能しない時に、もっと攻撃に対する工夫が必要だった。
 後半はキトもサイドアタックをはじめとして様々な打開を図ったが、マンUのDFが一枚上手だった。その中で、マンUはルーニーの世界最高峰の決定力を武器に一発で勝ちきった。この試合の陰のMVPはマンUのボランチ、MFキャリックだろう。攻守に渡り、彼の存在が効果的に効いていたし、楔のパスや相手DFの裏に通すパスでキトを翻弄し続けていた。しかし、何よりもこの試合の明暗を分けたのは、両チームの攻撃のパターンやアイデアの質や量。キトには今日の試合で見せた以上の攻撃の力がなかった。決勝戦を決した明暗、これに尽きるだろう。

<写真>試合終了直後のマンチュッスター・U選手たち
(取材 フットボールアナリスト田村修一)

TOP