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[選手権]鹿島学園、国立に2度立つチャンスつかむ(鹿島学園vs一条)

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[12.30 第87回全国高校サッカー選手権1回戦 鹿島学園(茨城) 1-1(PK3-2) 一条(奈良) 国立]

 今年度の全国高校サッカー選手権は、準決勝が従来の国立競技場(東京)ではなく埼玉スタジアム2002で行われるため、国立のピッチを踏むことができるのは、開幕戦に出場した2チームと決勝へ進出した2チームのみとなる。この日の開幕戦で勝った鹿島学園(茨城)は、参加48校の中で唯一2度国立に立つチャンスもつかんだ。
 開幕戦独特の雰囲気に飲まれ、前半は硬さのあった鹿島学園。単調な速攻を跳ね返される場面が続くなど、リスクをかけきれない、やや消極的な攻撃により波に乗れなかった。その中で鈴木雅人監督(33)は指示を出し過ぎて選手が混乱してしまうことを避けるために「余計なことを言わないように静かにしていた」と振り返る。だが1点ビハインドで迎えたハーフタイムに一転。「もっと思い切っていくように」と選手を鼓舞すると、後半、奮起した鹿島学園イレブンはピッチサイドで声をからして指示を出し続ける指揮官の気持ちが乗り移ったかのような攻撃を披露する。
 司令塔のMF小谷駿介(3年)が個人技で相手の守備網に穴を開け、MF小黒翔太(3年)の積極的な突破や、FW三橋隼斗(2年)の強烈なミドルシュートで同点を目指すと17分、小谷の左CKを「チャンスは絶対に来ると思っていた」というDF阿渡真也主将(3年)が頭で合わせて同点。後半だけで14本放ったシュートから勝ち越しゴールは生まれなかったが、PK戦の末に、開幕戦白星を手に入れた。

 「内容は良くなかったけど、国立で1勝できて良かった」と指揮官は満足げ。野洲(滋賀)と岐阜工(岐阜)の勝者と対戦する2回戦(09年1月2日、三ツ沢)へ向け「必死に頑張って一戦必勝でやっていきたい」と力を込めた。立ち上がり緊張しながらも、徐々に慣れて伝統のピッチを存分に駆け回った選手達には新たな目標ができた。阿渡は「もう1回このピッチに戻れるように頑張る」。鹿島学園が目指すところは過去最高の成績だった05年度の8強越えではなく、もっと先。09年1月12日に行われる決勝で再び国立の芝を踏むことだ。

<写真>決勝戦で再び国立の芝を踏むべく、好スタートをきった鹿島学園イレブン
(取材・文 吉田太郎)

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