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[選手権]一条がPK戦の末、開幕戦で散る(鹿島学園vs一条)

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[12.30 第87回全国高校サッカー選手権1回戦 鹿島学園(茨城) 1-1(PK3-2) 一条(奈良) 国立]

 「これまでやるだけの事はやってきたので、悔しいが仕方ない」。第87回全国高校サッカー選手権大会の開幕戦を勝利で飾ることが出来なかった一条(奈良)の前田久監督(43)は、試合後に胸中を語った。
 「巧みに守り果敢に攻めよ」。そのチームコンセプトを体現したような前半だった。県予選で1試合平均4.6点の攻撃力を誇ってきた鹿島学園(茨城)の攻撃を粘り強く凌ぎ、県予選5試合を無失点に抑えてきた鹿島の堅い守備を破ってみせた。試合のハイライトは前半31分、起死回生の先制点だった。MF岡本一馬(3年)の左サイドからのクロスをDFがクリアすると、それをFW奥田和則(3年)がシュート。再びはね返されたボールを、最後はMF原田光(3年)が左足で豪快に蹴り込み先制した。しかし後半17分に同点にされると、鹿島の分厚いアタックの前に防戦を強いられた。そして、PK戦ではGK長峰大樹(3年)に2本のシュートを止められ、惜しくも敗れた。
 一条は今年から「ボールを繋いで動かし続ける」ポゼッションの練習を繰り返し、球を失わずに攻撃を組み立てられるチームを目指してきた。今年の3月には10日間に渡りスペイン遠征を敢行し、バルセロナに拠点を置く1~3部リーグに所属するチームと9試合を戦った。結果は1勝1分7敗に終わったが、選手たちは厳しい連戦の中から勝負強さを磨き、また「巧みに守り果敢に攻める」サッカーの精度向上に成功。そして県予選を勝ち抜いてきた。開幕戦敗退に終わったが、「やるだけのことはやってきた」という自信が試合後の指揮官の表情に表れていた。
 「ご苦労さん。勝負は非情やな。僕が君たちのこの悔しい思いを、後輩達と共に来年に繋ごうと思う。ご苦労さん」。指揮官は最後のロッカールームで、選手を優しく称えた。正月にサッカーをすることは叶わなかったが、指揮官はこの悔しい気持ちを来年に繋げるつもりだ。

<写真>PK戦で敗退し、試合後泣き崩れた一条イレブン
(取材・文 山口雄人)

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