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[選手権]ファインセーブ連発のGK西井「悔いはない」(鹿島学園vs一条)

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[12.30 第87回全国高校サッカー選手権1回戦 鹿島学園(茨城) 1-1(PK3-2) 一条(奈良) 国立]

 一条(奈良)の守護神・西井隆人(3年)が、鹿島学園(茨城)の前に最後まで勇敢に立ちはだかった。
 この日、一条は前半からペースを掴んだものの、局面で攻め込まれ再三ピンチを迎えた。それを救ったのが、「鹿島に得点を与えない事だけを意識した」という西井だった。その言葉通り、前半30分、右サイドからのパスを素早くトラップしたMF工藤由夢(3年)の強烈なシュートをピッチの外に腕一本でかき出すと、後半15分には、FW三橋隼斗(2年)の鋭いシュートをまたしても腕一本で弾き出した。そして1-1で突入したPK戦。1-3という絶体絶命の局面で迎えた4人目のキッカー・MF工藤のシュートをブロックし、U-17地域対抗戦関西選抜の意地を見せつけた。
 「俺が止めてみせるから安心してくれ。まだ終わりたくない、終われない。ずっとそう思っていました」。西井が「まだ終われない」と強く思ったのには理由があった。元気であれば同じ最上級生として、この試合を共に戦っていたはずであろう故・東原大樹との約束だ。西井と東原は小学校からサッカーを通してずっと切磋琢磨してきた仲間。二人は正月の高校選手権で共にサッカーをすることを夢見ていたという。「今日見せられた幾つかのセービングは、ずっと東原が見守ってくれていたおかげ。ありがとう。彼にそう言いたいです」。この日も、ベンチには東原の写真が置かれていた。西井は83名の部員、そして東原の思いを背負ってゴールマウスに立っていた。最後の最後でゴールを割られたが、西井は悔いはないと言う。「このメンバーでもうサッカーが出来ないのは寂しいけれど、悔いはないです。今日は最後尾からチームを支えてやれなかったけれど、このチームで3年間プレー出来て本当に良かった」。チームは初戦で散ったが、西井のサッカー人生は、これからも続く。

<写真>敗退したものの、ファインセーブを連発しゴールを守った守護神・西井隆人
(取材・文 山口雄人)

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