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[選手権]注目ストライカー瀬沼、1試合で姿消す(桐光学園vs立正大淞南)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[12.31 第87回全国高校サッカー選手権1回戦 桐光学園(神奈川) 0-2 立正大淞南(島根) 三ツ沢]

 注目のストライカー、桐光学園(神奈川)のU-19日本代表瀬沼優司(3年)はわずか1試合で全国から姿を消した。
 得点機は何度もあった。開始直後に先制点を奪われて迎えた前半13分、左クロスに合わせたヘディングシュートはわずかにクロスバーの上。このあとは相手の厳しいマークにあい、なかなかシュートを打たせてもらえなかったが0-2となった後半12分にはMF西川聡一郎(2年)のループパスに反応しGKと1対1に。だが、力んでしまったのかGK頭上を抜こうとしたループシュートをミスしてしまう。

 悪い流れを断ち切ることができない瀬沼。それでも24分には中央から強引な突破で右サイドへ流れると相手の不意をついた強烈な右足シュートを放つ。ただ、ボールはGKの横を通過したものの、ゴール左ポストを叩いたボールは、ゴールラインの真上を通ってゴール右ポストを直撃し、GKの手中へ。スタンドをどよめかせる一撃だったが、追撃弾にはならなかった。すると27分の決定的なヘディングシュートも叩ききることができずにノーゴールのまま試合終了。瀬沼は「全国の場で何も出来なかった。全然ダメ。力がないことを分からせてもらった。チームのために点を取りたかった。取れなかったのは申し訳ない」と下を向いた。

 今季は浦和ユースやF東京U-18、横浜FMユースといったJ下部組織が集うプリンスリーグ関東1部で得点王を獲得。9月の全日本ユース(U-18)選手権では広島ユースゴールに2発をたたき込んで、その能力の高さを示していた。地元の川崎Fや清水が注目する中、「今の自分ではまだ通用しない」と筑波大進学を選んだ瀬沼。J入りこそしていないものの、今大会は鹿児島城西FW大迫勇也(3年=鹿島入り内定)と並び、大会1、2を争うFWとして注目を集めていた。

 この日は激しいマークにさらされながらも、強さを活かしてのポストプレーやサイドへの展開でチャンスメイカー役をこなしていた。ポストを叩いた強引な突破からのシュートは、彼の真骨頂とも言える力強さ溢れる一撃。わずかだけながらも選手権で輝きを放った。
 ただ10日前に左足ふくらはぎを痛めていた影響は、知らず知らずのうちにプレーに影を及ぼしていた。時間が追うに連れてミスが増え、本来のプレーを80分間見せることはできなかった。「全国で自分の課題を試して、克服して“恐い”FWになるために成長していきたい」と臨んでいたFWは、自分の力をわずか1試合しか試すことないまま姿を消すことになった。
 「相手のDFが上だったということ。(彼らを)上回られるように頑張っていきたい」と振り絞った瀬沼。将来へ向けては「(中村)俊輔さんやJリーグで活躍されているOBの方達は桐光を出てからも頑張ったから今がある。僕も桐光でサッカーをやったことに満足するのではなくて、上を目指して努力していきたい」と誓った。

<写真>相手3人に囲まれながらも強引に打開しようとする瀬沼。力強いプレーで相手の脅威となったが・・・
(取材・文 吉田太郎)

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