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[天皇杯]強行先発の遠藤がけん引、「アドレナリンで痛み忘れた」

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[1.1 天皇杯決勝 G大阪1-0(延長)柏 国立]

 右足首痛をこらえて強行先発したガンバ大阪のMF遠藤保仁が119分間、タクトを振るい続けた。昨年12月29日の準決勝・横浜FM戦で患部を悪化させ、出場が危ぶまれていたが、西野朗監督は「スタートから出して、ダメならダメで、行けるところまで行こうという感じだった」と先発起用を決断。右MFで先発し、後半途中からはMF橋本英郎とポジションチェンジし、ボランチの位置でパスをさばいた。

 痛みも忘れていた。試合中、西野監督から「大丈夫か?」と足の状態を確認された遠藤は「変にアドレナリンが出て、痛みもなくなった」と即答した。セットプレーを蹴ったのは一度だけ。正確無比の右足ロングフィードも封印したが、中盤でタメをつくり、チームにリズムを生むショートパスは「さすが」の一言だった。西野監督は「ガンバのパスサッカーの中心は遠藤。彼のパスからスタートするし、彼のパス1本で選手にメッセージが次々と伝わる」と言った。好調時のキレはなくても、中盤に君臨する遠藤の存在がG大阪の生命線でもあった。

 0-0の拮抗した展開が続き、PK決着の様相も呈してきた。それでも遠藤は「俺は延長で決着が付くんじゃないかと思っていた。PK戦は考えてなかった」と言う。後半途中からは中盤で面白いようにパスを回し、柏を圧倒した。このままいけば勝てるという手応えがあった。遠藤の予想通り、延長後半11分に均衡が破れると、試合終了間際、お役御免とばかりにピッチを去り、ベンチで優勝の瞬間を見届けた。

 「準決勝もそうだし、この試合も延長の苦しい残り何分のところで点を取った。今までにない強さをだんだんチームとして身に付けてきていると思う」。リーグ戦は8位と低迷したが、終わってみればACL、天皇杯の2冠。クラブW杯での激闘も経験し、チームの成長は肌で感じている。クラブでも代表でも中心選手として長いシーズンを戦い終えた遠藤。ひと時の休息をはさみ、またすぐに戦いの日々が戻ってくる。

<写真>G大阪MF遠藤
(取材・文 西山紘平)

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