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[天皇杯]もう一度世界へ、新たなスタイル確立させたG大阪

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[1.1 天皇杯決勝 G大阪1-0(延長)柏 国立]

 19日間で6試合をこなす過密日程を乗り越え、ガンバ大阪が2年連続でACLに出場する権利を獲得した。DF中澤聡太は「今だから言うけど、この大会はほんときつかった。クラブW杯からびっくりするぐらいゲームをやって。しんどかった」と偽らざる胸中を明かした。その中で勝ち獲った栄冠。試合終了の瞬間、中澤、DF山口智の両センターバックはピッチに倒れ込んだ。達成感と疲労感が入り混じった複雑な心境。中澤は「チームが成長していなければ、このタイトルは獲れなかった」と力を込めた。

 天皇杯で優勝するしか、ACLへの道は開けなかった。ファインセーブ連発でチームの危機をたびたび救ったGK藤ヶ谷陽介は「来年もACLに出るために優勝しようと、みんなの気持ちがひとつになっていた」と言い、MF寺田紳一は「最後まで気持ちで相手を上回っていたから勝てた」と胸を張った。もう一度、世界の舞台へ。その夢を叶えるために選手は一丸となり、準決勝に続いて延長戦にもつれ込んだ120分間の激闘を走り抜いた。

 クラブW杯後の天皇杯3試合は、名古屋との準々決勝で1失点を喫しただけで、準決勝、決勝は延長を含めた240分間を無失点で切り抜けた。DF加地亮は「危ないときや悪い時間を全員が把握して、守ることができた」と指摘する。攻撃サッカーを標榜し、得点力ならJリーグ随一の力を持ちながら、リスクを冒して攻撃的に行くあまり、失点もかさむのがG大阪の弱さでもあった。しかし、天皇杯では、その勝負強さが際立っていた。まずは失点しないというリスクマネージメントをした上で勝負を決めるゴールを奪いに行く。安定感抜群の“省エネサッカー”を、MF遠藤保仁は「やられそうで、やられない。最後のところで踏ん張りが効く」と表現した。

 来季のターゲットはACLを連覇し、再び世界に挑戦すること。そして、いまだどのチームも成し遂げていないリーグ&ACLのダブル制覇という偉業も待っている。当たって砕けろのガンバスタイルだけではない新境地を開拓したアジア王者。「Jリーグでは断トツの力で優勝できるチームになりたい」という加地の言葉が現実のものになれば、黄金時代の到来も夢ではない。

(取材・文 西山紘平)

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