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[選手権]藤枝東猛追及ばず、2年越しの夢潰える(大津vs藤枝東)

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[1.3 第87回全国高校サッカー選手権3回戦 大津(熊本) 3-2 藤枝東(静岡) 三ツ沢]

 2年越しだった日本一への夢は3回戦で崩れ去った。昨年度準優勝の藤枝東(静岡)は前半12分の失点から常にリードされる苦しい展開。後半10分に1年生MF海野智之がドリブルシュートを決めて一時1点差に迫ったが同20分に相手の個人技にゴールを破られると、その後の猛追もあと一歩で及ばなかった。
 
 だが、最悪のスタートを切ったチームが見せた驚異的な粘りにはスタンドから大きな拍手が送られた。昨年度の全国準Vの主力の大半が抜け、残ったレギュラーはMF小林勇輝主将、MF藤田息吹、そしてFWからCBへコンバートされた岡崎太一(全て3年)の3人だけ。静岡県新人戦は2回戦で、同県総体は3回戦で敗退。全国準Vのプライドがマイナスに働いたか、相手に気持ちの面で劣るなど、ともに静岡県の8強にすら残ることができなかった。
 それが一夏を超えて豊富な運動量をベースとした戦うサッカーで復活。「ネコがライオンになった」と大石和孝監督が評する“戦闘軍団”に生まれ変わったイレブンは、選手権の県大会を苦しみながらも勝ち抜き連続出場。そして全国でも十分に力を発揮した。全国総体4強の大津に最後まで食い下がった。

 県大会でブレイクしたFW村松一樹(3年)のドリブル突破が相手にとって脅威となり、188cmの長身FW新井成明(3年)の的確なポストプレーがチーム全体を押し上げた。また3年生DF増田有岐も今大会屈指のレベルにある攻撃陣に粘り強く体を寄せた。新人戦、総体で見せたひ弱な姿はどこにもなかった。そして、2点ビハインドで迎えた後半終盤に見せた粘り強さは相手を恐怖に陥れた。

 ただ、連覇の夢が途絶えたのも確か。県大会から4試合連続無失点の守備陣が3失点を喫して、敗退が決定した。局面をワンツーやダイレクトパスで崩したものの、決定力とクロス精度で相手を下回った。来年への大きな課題は残った。小林主将は「藤枝のユニフォームを着て戦う最後の試合が終わった。仲間とサッカーができないことが悔しい」とうなだれたが、同時に後輩へ向けては「藤枝東の誇りを持って僕等の成績を超えて欲しい。全国優勝して欲しい」。名門の悲願となっている、1970年度以来の選手権日本一への夢は後輩たちに託された。

(取材・文 吉田太郎)

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