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[戦評]“根性サッカー”で勝ち得た栄冠(全日本高校女子選手権決勝)

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[08.05 第16回全日本高校女子選手権決勝 鳳凰 3-1 神村学園 ヤマハスタジアム]

 鹿児島県大会、九州大会と神村学園に連敗していた鳳凰が、決勝でライバルを倒し女王の座についた。初の鹿児島対決となった決勝は前半、個人技で勝る神村学園が先制。だが鳳凰が後半逆転し3-1で勝利、高校女子日本一の栄冠を手にした。
 泥臭い「根性サッカー」で鳳凰が栄冠を勝ち取った。前半を0-1とリードされて折り返した鳳凰。相手の攻撃力を警戒して守備的な戦法を敷いて戦いながらもリードを許してしまった。だがGK永田美由希主将が「気持ちで負けないこと。あと35分しかない。やるしかない。必死でやろうとまとまった」と振り返るように、イレブンは意気消沈しなかった。そして後半、前へ前へと攻勢をかける。
 届きそうにないボールにも最後まで走って触ろうとした。同じ相手にもう負けるわけにもいかなかった。その意欲は後半開始早々に実る。3分、ゴール前に上がった右クロスにFW野間文美加が体を投げ出して飛び込み、ボールがゴール前へとこぼれる。そのボールを左サイドから走りこんだMF堀之内早苗が詰めて同点。さらに8分には堀之内の左クロスを「来ると信じて走っただけ」という野間が頭で合わせて勝ち越した。勢いに乗った鳳凰は13分にも野間が頭で追加点を決め3-1と突き放す。試合終盤、猛攻を仕掛けてきた神村学園に対しても、鳳凰の走りは衰えない。そして4年ぶりVをもぎ取った。
 嶋田正照監督は「うちは目立った選手がいない。だから根性サッカーしかない。自分たちがボールを必死に追いかけるしかない」と語った。相手にプレスに行くこと、すぐに戻ることを徹底して行ってきたという。相手よりも一歩でも多く動くこと、そして疲れたときこそ相手より動こうとした。個をチームで上回り、全国大会決勝でライバルを打ち倒した。「夏のゲームは走るチームが強い」と嶋田監督。走りきったイレブンに胴上げされた指揮官は夏に勝つ術について、はっきりとそう応えた。

<写真は“根性サッカー”で全国制覇した鳳凰イレブン>

(取材・文 吉田太郎)

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08.05 全日本高校女子選手権決勝(鳳凰vs神村学園)

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