beacon

[戦評][全日本ユース選手権]夏とは違うスタイルで得た勝ち点(青森山田高vs星稜高)

このエントリーをはてなブックマークに追加
[09.09 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会1次ラウンドグループB第1戦 青森山田高 0-0 星稜高 駒場]

 8月の全国高校総体で準優勝した星稜高(石川)とベスト16に進出した青森山田高(青森)の対戦は互いが総体とは違う一面を見せる試合となった。

 試合の主導権を先に握ったのは青森山田高だ。前半の早い時間帯からボールを支配し、FW佐々木絢也主将(18)とFW岩崎晃也(18)の2トップの足元、DFの裏へと次々とボールが供給される。そしてフィジカルが強い佐々木とスピードのある岩崎が決定機に近い形を何度も作り出していった。さらにこの日は2人の攻撃的MFが常に前線張り付いているような状態。ボランチ、最終ラインの守備ブロックのサポートがすばやく、厚みのある攻撃を繰り出していた。
 優勝した市立船橋高(千葉)に敗れた全国総体では自陣に引きこもってからのカウンターが主だったが、黒田剛監督(37)が「このままじゃいけない。リトリートだとポゼッションも低くなってしまう」とDFラインの位置を高く保った戦術へ変更。佐々木やDF大久保翼(18)ら主力の多くが9月2日まで行われた仙台カップ国際ユースサッカーにU-18東北代表として出場していたため、コンディション不足だったが、それでもスタイルを変えたばかりのサッカーで十分に相手を苦しめた。
 
 一方、本来のパスワークが青森山田高の素早いプレッシャーに阻まれ、自分たちの展開へと持ち込むことができなかった星稜高だが、U-17日本代表のDF鈴木大輔主将(17)を中心にゴールは許さなかった。特に前半は完全に押し込まれてペナルティ・エリア内でクリアすることが精一杯な時間も続いたが耐え切った。後半も守備をしている時間が長かったことは変わりなかったが、左サイドから崩してFW谷川光(18)が左ポストをたたくシュートを放つなど、ボールを動かして決定機も作った。河崎護監督(48)は「この大会は顔ぶれも違って毎試合決勝戦のようなもの。攻撃だけでいけるほど簡単じゃない」。守備を固めて“決勝戦”を無失点に抑えたことを評価していた。
 
 ピッチ上で違う表情を見せて拮抗した試合を演じた両チーム。その指揮官たちは今後へ向けて「まず決勝トーナメントへいくために残り2試合で1勝すること」と同じ目標を掲げた。この日は夏とは違うスタイルで勝ち点1を分け合ったが、残り2試合は納得の内容だけでなく、今大会での戦い方で白星を奪うことが必要となる。

(文 吉田太郎)

TOP