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[戦評][全日本ユース選手権]互いが魅せた技の応酬(浦和ユースvs静岡学園高)

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[09.09 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会1次ラウンドグループB第1戦 浦和ユース 1-1 静岡学園高 駒場]

 的確な技術と1対1での技術。浦和ユース(埼玉)対静岡学園高は互いの「技」がぶつかりあう試合となった。

 4-3-3の布陣で試合に臨んだ浦和ユースはミスのないパス回しが際立った。U-17日本代表のMF山田直輝(17)やMF高橋峻希(17)ら3人の中盤や前線が目まぐるしくポジションチェンジを繰り返しながら、ダイレクトや2タッチの正確なパスを次々とつないでいく。ライン際の僅かなスペースやDFとDFの間をきれいにボールが通過していき、そのほとんどが決定機へとつながっていった。先制された5分後に奪ったMF原口元気(16)の同点ゴールもショートパスをつないでから奪ったもの。試合後に静岡学園高の井田勝通監督(65)が「ミスしないし、しっかりつないでくる。個の能力は向こうの方が全然高い。(今日の)引き分けはありがたい」と浦和ユースの質の高さを認めていた。だが、相手を押し込んで15本のシュートを放ち続けたにも関わらず、静岡学園高守備陣の必死の守りと自らのシュートミスにより、ゴールネットを揺らしたのは1回だけ。つかみかけていた勝ち点3は奪えなかった。

 一方、相手の素早いプレッシャーの前に苦戦した静学も伝統の個人技で魅せた。「かわしていったら前が開いたので打った」と振り返るMF池川修平(18)の先制ゴールは、ドリブルで3人かわしてから左足を豪快に振りぬいたビューティフルゴール。そのほか、局面を緑と黄色に彩られたユニフォームがドリブルや個人技で何度も打開していった。前半こそ立ち上がり以外はミスも多く見せ場が少なかったが、後半はMF吉野峻光(18)やMF吉田豊(17)といった年代別代表経験者を中心に個人技からゴールに詰め寄っていく場面が見られた。その技には浦和ユースの山田が「今まで1対1で勝てていたところが、今日は勝てなかったりしていた」と首を振ったほど。こちらも技で相手を苦しめた。

 ミスをしない安定感の高い「技」と、局面を一発で打開する「技」。質の高いサッカーを行うクラブユースチームと高校チーム屈指の技巧派集団との注目の一戦は、互いがそれぞれの持ち味である、タイプの違う技を応酬した結果、1-1で引き分けた。

(取材・文 吉田太郎)

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