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[戦評][全日本ユース選手権]自分たちのスタイルを貫いた新鋭(名古屋U-18vs大阪桐蔭高)

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[09.15 高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権1次ラウンドA組 名古屋U-18 0-0 大阪桐蔭高 秋津]

 シュート数は名古屋U-18が4で大阪桐蔭高が7。昨年の準優勝チームに初出場の新鋭が挑んだ注目の試合は、互いが決め手を欠いたままのドローとなった。ただ試合結果にはともに納得の表情。首位をキープした名古屋U-18に対し、やや押し気味に展開した試合で勝ち点1獲得にとどまった大阪桐蔭高・永野悦次郎監督(38)も「よく頑張ってくれた。ここまでできるとは思っていなかった」と評価した。負けるわけにはいかない試合でともに最低限の成果を残した試合となった。
 
 名古屋U-18はU-18日本代表のDF三宅徹を中心に守備ブロックをしっかりつくり、3トップをシンプルに走らせる。対して大阪桐蔭高はMF阿部浩之主将(18)を中心に自陣からでも積極的にボールをつなぎペースを握った。特に前半は足元の技術が高く、的確なパスを操る大阪桐蔭高がボールを圧倒的に支配。そしてフィジカル、スピードともに優れた注目のFW満生充(18)が前線で基点となり、機を見つけては一瞬の動きでスペースを突いて相手DFを脅かした。
 同校は今年で創部3年目。大阪府大会を勝ち抜いて全国総体に初出場しただけではなく、全日本ユースへの出場権まで獲得した。その実力をこの日も発揮。入学時から同じメンバーでトレーニングしてきた成果と見られる連携の良さを見せた。だが、永野監督が「(攻めきれず)選手たちが悩みだしてしまった。リスクをおかして攻めて欲しいところで攻められなかった」と残念がったように後半途中まで押し気味に試合を展開しながら、局面を打開できずに攻撃が停滞。すると終盤は逆に相手の速攻に攻撃に苦しめられ、勝利を得られなかった。

 それでも初戦に続く引き分けで初出場ながら勝ち点2を奪取。決勝トーナメント進出へ進出するためには全国高校総体優勝校の市立船橋高(千葉)との最終戦での勝利が条件となりそうだが、指揮官は「(この状況は)一番いい形だと思う」と不敵な発言。相手を怖れる様子はまるで見られない。昨年準優勝の強豪相手にもブレずに自分たちのサッカーを貫いた新鋭は「最も力を発揮できる」という格上相手との最終戦で、勝利と逆転での決勝トーナメント切符を狙う。

(取材・文 吉田太郎)

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