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[戦評][全日本ユース選手権]止まらない攻撃を演出していた安田弟のプレー(札幌U-18vsG大阪ユース)

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[09.17 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会 札幌U-18 0-1 G大阪ユース 西が丘]

 G大阪ユースの攻撃の質の高さが際立った。決勝トーナメント進出のために負けられない札幌U-18は素早い寄せを見せていたが、それをあざ笑うかのようにボールは前後左右へと動かされていった。止めて蹴る技術だけでなく、パスを受ける際の体の向き、判断も的確。札幌U-18は攻める機会を得られず、前半はシュートわずか2本に終わっていた。そしてG大阪ユースはMF池亮磨(18)とFW大塚翔平(17)のワンツーやMF宇佐美貴史(15)のドリブル突破、FW瀬里康和(18)のスルーパスなど、相手のミスからではなく、崩してからの攻撃で決定機を量産していた。
 この日、特に目立っていたのはU-18日本代表MF安田晃大(18)だ。兄はU-22日本代表のMF安田理大(19=G大阪)。G大阪で左サイドバックを努める兄と違い、晃大は中盤の中央に位置し、長短のパスでゲームメークする司令塔。165センチと小柄だが、相手の守備のわずかなズレを突く正確なパスを配給するほか、ボールを受けてからスペースへドリブルする加速や、機を見てゴール前へ鋭く侵入する突破力も光っていた。G大阪ユースのボールは安田を経由して相手の最も嫌なスペースへと運ばれて行った。安田は「攻撃のアイディアやスルーパスでは兄より自分の方が上」とたくましい。そして日本クラブユース選手権優勝に次ぐ2冠獲得へ向け「キャプテンなんで自分がチームをリードしてやっていきたい。目標は優勝」と言い切っていた。

 チームはすでに決勝トーナメント進出を決めていただけに、やや余裕も覗かせる戦いぶりだったが、それでも不可解な判定により退場者が出た直後に大塚のミドルシュートで得点を奪うなど、主導権は渡さなかった。島田貴裕監督は「日本一へモチベーションは高い。勝ちたいという欲求出ていると思う」。ポジショニングの悪さと運動量の少なさを指揮官は指摘していたが、それでも安田を中心にクラブユース王者の実力を十分に見せつけた90分間だった。

(取材・文 吉田太郎)

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