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[戦評][全日本ユース選手権]“漢字対カタカナ”の好ゲーム(東京Vユースvs東海大五高)

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[09.17 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会1次ラウンドC組 東京Vユース 2-2 東海大五高 西が丘]

 プリンスリーグ九州王者の東海大五高(福岡)とU-17日本代表MF河野広貴(17)らタレントを多数擁する東京Vユースという「高校対クラブユース」の好カードは、互いのポテンシャルの高さを見せ合う高レベルな試合となった。まず前半ペースを握ったのは東京Vユース。けが人や体調不良者を抱えることでこれまでの4バックから3バックへと変更して臨んだが、柴田峡監督(41)が「最近で一番良かった」と振り返る好内容。DF面では3バックがうまくかみ合い、東海大五高のキーマンであるFW清水航平(18)とFW松井亮太主将(17)にほとんど仕事をさせない。また個人技を生かした得意の攻撃では河野の切れ味鋭いドリブルからチャンスをつくっていたほか、サイドの攻防でも優位に立ち1-0で試合を折り返す。
 だが、後半は東海大五高が粘りを見せる。前半はボール支配の面で相手を上回りながらも、サイドの押上げがなく攻撃が中央に偏り、最後の局面を突破できなかった。平清孝監督(52)も「前半からもっと飛ばすのがうちなんだけど、よそゆきになっていた」。だが、後半はサイドを中心に局面で先手を奪う。またボランチの位置での狙い通りのインターセプトから、アタッキングエリアへと侵入する回数も増えた。そして27分にセットプレーから清水が頭で同点ゴール。一度は突き放されたが、43分に清水がドリブルでの中央突破から再びゴールを決め引き分けに持ち込んだ。
 
 九州王者、そして今大会やや劣勢である高校チーム勢の代表がクラブユース勢に見せた意地の同点劇。一方の東京Vはベストとは程遠い状態にもかかわらず、能力の高さを披露した。東海大五高の平監督が「漢字の高校とカタカナの高校(クラブユース勢)との戦い」と題した舞台で見せた「高校対クラブユース」の戦いは、2-2で引き分け。1次ラウンドではややもったいない感もある実力伯仲の好ゲームだった。

(取材・文 吉田太郎)

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