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[戦評][全日本ユース選手権]流れを変えた「勝利経験」の差(横浜Mユースvs市立船橋高)

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[9・22 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会決勝トーナメント1回戦 横浜Mユース 2-3 市立船橋高 秋津]
 
 今年、プリンスリーグ関東と全国高校総体を制している市立船橋高(千葉)とU-17W杯日本代表5人を擁しながら、日本クラブユース(U-18)選手権でグループリーグ敗退するなど、実力が結果に結びついていない横浜Mユース。互いの実力が伯仲した1回戦屈指の好カードは「勝利のメンタリティー」の有無が勝負を決めた。
 
 先制したのは横浜Mユースだった。序盤、市立船橋高の左MF渡部雄史(17)ら攻撃陣に押し込まれながらも、左CKをU-17日本代表FW端戸仁(17)が決めてリードを奪う。だが、全国総体、プリンスリーグで失点を喫しても勝ち続けてきた市立船橋高は怯まない。後半に入り時間が経過しても攻め急ぐことなく、じっくりとボールをつなぎながら相手の隙を狙った。
 そして16分に左DF濱田宙(18)のラストパスに飛び込んだMF若狭友佑(18)が右足で同点弾。さらに21分には、横浜Mユースの集中力がやや乱れたところを見逃さずオーバーラップしたDF橋本真人主将(18)を起点にPKを獲得し勝ち越した。23分にも左サイドで抜群のパフォーマンスを見せていた渡部の突破からダメ押し点を奪った。勝負どころを見逃さず、たたみ掛けて奪った3得点。石渡靖之監督(48)は「総体でも先に点を取られたことはあった。1点取られてもつなぐところつなぐとか、当たり前に慌てないでやろうと言ってきた。相手ががっかりしたところをたたみ掛けてつけたのは(経験を通して)進歩したと思う」と選手を称えた。橋本も「(点を)取られても大丈夫という自信があった」と胸を張った。
 一方、追撃及ばず敗れた横浜Mユース・和田武倫監督(44)は「集中力の差。後半(集中が乱れる)課題が出た。チーム全員が危機感持ってゲームを進められたら、もう少し違う結果になっていたかなと思う」と敗因を口にした。勝利を知る経験を生かして落ち着いて流れを呼び寄せた市立船橋高と、苦しい試合で耐え切れなかった横浜Mユース。その差が勝敗を分けた試合だった。
 
(取材・文 吉田太郎)

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